6月25日に76歳の誕生日を迎えた沢田研二さん。たゆまぬ前進と昨今の昭和歌謡ブームであらためて注目が集まるレジェンドの、ヒット曲からだけではわからない真の魅力について、シンガーソングライター・音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライター・TikTokerの橋本菜津美が、ラジオ番組で語り合いました。
※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2024年6月28日放送回より
【中将タカノリ(以下「中将」)】 先日、6月25日は沢田研二さん76歳のお誕生日でした。沢田さんは今年もライブツアー「甲辰 静かなる岩」で元気に全国を元気に駆け回っておられますが、このところ人気が再沸騰していてチケットがすごく取りにくくなっています。
【橋本菜津美(以下「橋本」)】 ライブツアーって若くてもしんどいのに、70代で毎年それを続けるなんてすごいことですよね。
【中将】 メディアで取り上げられる機会も増えているのですが、先日、僕も協力させていただいた「AERA dot.」(アエラドット、朝日新聞出版)のアンケートによると、ファンが好きな曲は1位から5位まで、『時の過ぎゆくままに』(1975)、『勝手にしやがれ』(1977)、『君をのせて』(1971)、『危険なふたり』(1973)、『サムライ』(1978)という順番だったそうです。いずれも名曲、ヒット曲で納得。まぁ、妥当な結果でした。
【橋本】 (笑)。たしかに大きな意外感はないですよね。
【中将】 ヒット曲も入り口としてはいいけど、それだけではない濃厚な沢田さんの魅力を知って欲しいなと思いました。そこで、今回はあえてあまり有名じゃない曲の中から、中将タカノリが好きなものをセレクトしてご紹介したいと思います。まずは1986年のシングル『女神』。
【橋本】 セクシーさムンムンですね!
【中将】 間奏の「アゥ……」みたいな声がなんとも言えません。30代後半になっていい感じで脂の乗っている時期なんですよ。楽曲のレベルは高いし、当時の音楽番組を見るとパフォーマンスや演出もかなり気合いが入ってます。しかも衣装は早川タケジさんが手がけた西洋の甲冑風で、なぜか片胸が女性の乳房みたいになっているという話題性たっぷりな……。
【橋本】 えっ(笑)。
【中将】 なのにオリコンランキングでは最高47位とあまり売れなかった。当時、沢田さんは渡辺プロを独立した直後で、不倫報道の影響もあり人気が下降気味。こういう業界ってプロモーション力やイメージがいかに大切かわかりますね。
お次に紹介する曲も同時期の曲。30代後半の沢田さんって容貌も歌声もとてもムーディーでセクシーなのです。1985年のアルバム『架空のオペラ』の収録曲『指』です。
【橋本】 すごく世界感あふれる曲です。
【中将】 「思い出より 君を覚えている この指で」……肩でも揉んであげていたんですかね(笑)。
【橋本】 肩と言うことで(笑)。アルバム曲ですが、すごくこだわって作っていることがわかりますね。ヒット狙いじゃないからこその濃厚さ。ファンの人はこういうのが好きなのかと思いました。