兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を告発する文書をめぐり、その内容を調査する兵庫県議会の百条委員会理事会が16日午後開かれ、死亡した元県民局長の遺族から12日に提出された陳述書や音声データについて、百条委員会で資料として認めるかどうかを次回・7月19日の委員会で諮ることが決まった。この日は、亡くなった元県民局長が証人尋問で発言する予定だった。
この文書をめぐっては、兵庫県が疑惑を否定する内部調査結果を5月に公表、男性を停職3か月の懲戒処分にしたが、不信感を募らせた県議会が6月に強い調査権限をもつ百条委を設置した。
男性は百条委での証言に向けて積極的な姿勢を見せていたが、在職当時に公用パソコンで作成した私的文書の提出を百条委員会に求められる可能性があることを危惧し、プライバシー面での配慮を求めていた。
百条委員会の奥谷謙一委員長は16日夕方、報道各社の取材に応じ、▼百条委員会で発言する内容をまとめた一問一答形式の陳述書(計11ページ)▼県西部・上郡町での視察の際、特産のワインについて「まだ飲んだことがない。折を見てお願いしたい」などと首長に求めるやり取りが録音された音声データが、「一死をもって抗議する」「百条委を最後までやり通してほしい」と記された男性のメッセージとともに、12日午後に県議会事務局に遺族からメールで送付されたことを明かした。
奥谷委員長は「男性には、この委員会で証言してほしかった。非常に残念なことだが、こうした陳述書や音声データを残していただいていたことは重く受け止める。これを踏まえ、調査を進めたい」と話した。
次回の百条委は19日午後に開かれる。
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《百条委員会》
自治体の行政事務をめぐって疑惑や不祥事があった際、事実関係を調査するため、地方自治法100条に基づき地方議会が設置する特別委員会。国会の国政調査権に相当し、関係者の出頭や証言、記録提出を求めることができるなど強い調査権限を持つ。虚偽の証言をした場合は5年以下の禁錮刑、正当な理由がないのに証言を拒否した場合などは6か月以下の禁錮刑や10万円以下の罰金を科すことができる。