まるで生きているような手触りの、生き生きとした動物たちの命が表現された彫刻。世界各地からの依頼で動物たちの肖像を制作する動物彫刻家・はしもとみおさんは、木彫りの動物たちに間近で触れ合える展覧会を全国の美術館で開催しています。
このたび、はしもとさんがラジオ番組に出演し、自身の作品づくりについて語りました。
はしもとさんは、「動物の手触りを大切に、実際にこの世界に生きている、または生きていた子をモデルにし、その子にもう一度出逢えるような彫刻を目指している」と話します。
動物たちの生き生きとした魅力をどのようにして与えるのか尋ねられると、このように答えました。
「逆に与えないんですよ。よく『命を吹き込む』と言いますよね。彫刻ではそういう表現をよく使うんですけど、そうじゃなくて、『魂の受け皿を探す』という方向に近い。たとえば、震災や寿命で亡くなってしまった生き物たちが帰ってくる器をつくっています」(はしもとさん)
はしもとさんの作品は、クスノキを使って掘り出しています。クスノキを使うようになったきっかけは、「実家に1本の細いクスノキが生えていた」こと。
阪神・淡路大震災が発生した1995年、はしもとさんの実家は尼崎にあったのだそう。実家に生えていたクスノキは震災の影響を受けることなく、「ミノムシがくっついて揺れていた」といいます。「震災の朝、あれだけ揺れたのに木は残っていて、なんか、『守り神やな』と思った」と当時を振り返りつつ、クスノキにこだわって制作するに至った経緯を明かしました。
動物の肖像彫刻を制作しようと思ったのも、阪神・淡路大震災がきっかけだったとか。もともと獣医を目指していたのですが、震災により起こった街の変化や動物たちの様子に影響を受けたそうで、当時の心境についてこのように語りました。
「動物たちの命を救いたいと思っていたんですけど、震災に遭って、『亡くなったものたちも尊いな』『それも含めて生き物だな』と思ったんです」(はしもとさん)