斎藤元彦・兵庫県知事のパワーハラスメントなどの疑惑に関する文書告発問題で、兵庫県議会の調査特別委員会「百条委員会」は5日、告発者の元局長の男性(2024年7月死亡)への対応について、専門家から意見を聞いた。
元局長の男性は、2024年3月に告発文書を作成し県議会議員や報道機関の一部に配布、4月に県の公益通報窓口に通報した。
しかし県は告発文書について、「核心的な部分は事実でない」などとして、5月に停職3か月の懲戒処分とした。
この日、参考人として見解を述べたのは、公益通報制度に詳しい奥山俊宏・上智大教授。
8月30日の百条委員会での尋問で、斎藤知事が「告発文書を見て、大変ショックだった」という発言をした。
奥山教授はこの発言について、「(兵庫県のスタンスとして)行政機関ならば、そうした感情を抜きにして、バイアスなく対処すべきだった」と述べた。
■まるで独裁者が反対者を粛清するかのよう
そして、「(懲戒処分は)拙速に過ぎた。真実相当性があるかどうかをしっかり吟味すべきだった。まるで独裁者が反対者を粛清するかのようだ」とした。
また、「(斎藤知事にとって)耳の痛い悪い情報でも伝え手を責めないで、内容を精査すべきだった。利害関係のない第三者や有識者による調査が必要だった」とした。
こうしたことを踏まえ、「告発文書には、法的に保護されるべき公益通報が含まれている可能性がある。一部を取りあげるのでなく、丁寧な判断が必要だった。斎藤知事ら県幹部のふるまいは公益通報者保護法に違反する」と述べた。
公益通報者保護法は告発者への不利益な扱いを禁じている。また、「事実と信じるに足りる相当の理由」などがある場合、報道機関などへの外部通報も保護の対象とされる。