神戸の中華街・南京町を舞台とした短編映画『キッチンオブドラゴン 風の天龍炒飯』。青春・料理・アクションの3要素が絡み合う映画とのことですが、一体どんな内容なのでしょうか? 監督の鬼村悠希さんに詳しい話を聞きました。
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ざっくりとしたアウトラインについて鬼村監督によると、「『料理の鉄人』のような料理バトル、『梨泰院クラス』のような若者の青春と復讐劇、ジャッキー・チェンや香港映画のようなアクションの3つをかけあわせた25分のエンタメ短編映画です。最もフィジカルで、最もプリミティブで、そして最もフェティッシュな作品」とのこと。
脚本も兼任したそうで、ストーリーの着想について「ジャッキー・チェンとブルース・リー、カンフー映画全般が好き。町中華も大好きで、中華鍋を振ったり麺の湯切りなど調理の所作がかっこいいと思っていて。そこで、中華料理とカンフーをミックスさせた映画をつくりたいと思ったのです」と鬼村監督。
今までにない設定の映画を作るうえでの苦労も多々あったのだとか。
「中華料理とアクションの掛け合わせが、まず滅茶苦茶な設定(笑)。映画として成立させ観客に楽しんでもらうためにはどうしたらよいものかと、かなり試行錯誤しました。また『主人公が“龍神拳”という料理術を修得する』というストーリーに、映像と物語で説得力をもたせる必要があった。そのため、脚本のブラッシュアップには半年かけました」(鬼村監督)
同作品は、神戸インディペンデント映画祭とコラボした短編映画。関西のインディーズ映画シーンを盛り上げるため、俳優はオーディションで選ばれた兵庫県出身の若手俳優を起用しています。また、神戸市の南京町や西宮市にある神呪寺など、兵庫県内で撮影を行っていることも見どころの一つです。
「低予算の自主制作ですが『ちゃんとおもしろい映画』にするため、じっくり1年かけて仕上げました。こういう取り組みは全国でも類を見ず、若い才能がはじけています!」と、鬼村監督は熱の入ったトークを聞かせてくれました。今後については「昔の日本映画のような“エネルギッシュ”な映画を制作して、海外などで上映したいと考えています。映画制作の仕事は、自主的で楽しく創作的。若い人たちが憧れる職業となるよう広めていきたい」と語ります。
(取材・文=迫田ヒロミ)
※ラジオ関西『Clip』より