12月10日は「世界人権デー」でした。1948(昭和23)年12月10日、国連で世界人権宣言が採択されたことを記念して制定されたもので、日本では12月4日から10日までの1週間を「人権週間」として、毎年全国的に人権啓発活動が展開されます。
兵庫県内でも毎年さまざまな活動が行われますが、その一方で、年間を通じて実施する人権啓発活動の一環として、法務省による「人権教室」が各地で開催されています。11月6日には、今春男子校から共学校に変わった滝川高等学校(神戸市須磨区)で神戸市の人権擁護委員による人権教室が実施され、高校生たちが人権問題について考えました。
同校では学年ごとに人権教室が開かれています。今年度3回目となった今回は、1年生を対象に『考えよう、デートDV〜よりよい関係をつくるために〜』をテーマとして実施され、279人が参加しました。
人権教室は、神戸人権擁護委員協議会の人権擁護委員・中嶋展也さんによる、「人権とは、人間が人間らしく生きられる権利で、生まれたときから当然持っているもの」との説明から始まりました。
講師を務めたのは同委員の安藤純子さん。デートDVの具体的な3つのケースについて映像を見せながら解説しました。高校生が“自分事”として捉えられるよう、過剰な独占欲を持っている男子高校生や、食事代を払ってもらうことを当たり前と考える女子高生などが登場するストーリー仕立てで解説しました。
なかには、会うたびにキスを求めてくる交際相手から裸の写真を要求されるなど、ショッキングな展開も。生徒からは、「キスを強要するシーンや暴力を振るうシーンが強く印象に残って、強要されることはこわいなと思いました」との感想が聞かれました。
人権教室に参加した生徒の多くは「交際相手がいないので実感がない」ものの、「いま関係のない僕たちが見たら『ありえない』と思うけれど、恋をする立場になると、そういう(さまざま求めるような)ことを言ってしまうのかもしれないと思った」と話し、遠くない未来に起こるかもしれないこととして素直に学ぼうとする姿勢が伝わってきました。
生徒らの様子に触れた安藤さんは、「生徒らの反応を見て、デートDVはいま、高校生にとっても大きな問題になっていると感じました」としたうえで、「非常に身近で深刻な問題なので、“デートDVとは何か”、“デートDVを受けた場合はどうしたらいいのか”ということを伝えたい」と、人権教室の意義について改めて語りました。
さらに「人権擁護委員が相談を受け付けていることも知ってほしい」と話した安藤さん。「相談所の存在を知ってもらうためには、まずは興味を持ってもらわなければならない」といい、人権教室を行うことの重要性を説きました。
※ラジオ関西『ニュースの景色』より