神戸には、ラジオ関西(神戸市中央区)のほかに、実はもう一つ、中波ラジオ局(AM)があります。普段はラジオを陰で支えている技術スタッフが、そのローカル局について、ラジオ番組のなかで解説しました。
神戸を拠点するもう一つの中波ラジオ局とは、「おおさかマーチス」。海上保安庁が運用しています。誰が聴いているラジオかというと、明石海峡をはじめ、大阪湾を行き来する広いエリアの船舶に向けた放送です。
その内容は総務省の無線規則に定められています。例えば、明石海峡航路を通過する船舶に向け、香川県小豆島にある地蔵埼灯台(じぞうさきとうだい)と淡路にある江埼(えさき)レーダー局の気象情報、長さ160メートル以上の巨大船の航路入航予定情報などを、自動音声で放送します。放送を開始する時は、「各局、各局、こちらはおおさかマーチス」というあいさつから始まり、最後は「おわり、さようなら」で終わります。
この局は中波ラジオで24時間放送しています。しかし、ラジオ関西のように、常に24時間放送されているのではなく、毎時15分と毎時45分のそれぞれ15分間以内に1651kHzの周波数で日本語の放送を、また、毎時00分と毎時30分には、別の周波数(2019kHz)で同内容の英語版が放送されます。
おおさかマーチスの本拠地は、「マリンタクトKOBE」と呼ぶ海上保安庁の施設。ポートライナーの計算科学センター(神戸どうぶつ王国・「富岳」前)駅から徒歩15分ほどの場所にあります。正式名称を「大阪湾海上交通センター」と呼び、2023年3月に淡路島から移転しました。淡路島の北端にある江埼灯台の近くに、おおさかマーチスの送信所が置かれています。
このラジオを聴いてみたいという人は、明石海峡や神戸港、神戸空港のあたりまで行くと、昼間もよく聴こえます。夜間は遠距離でも聴くことができるようです。
このラジオを聴くためには中波ラジオが必要です。しかし、その周波数に注意してください。
よく、高速道路に乗ると「ハイウェイラジオは1620kHz」というのを目にしたことがある人も多いと思います。おおさかマーチスは、それよりも上の周波数である1651kHzで聴こえます。ラジオによっては1650kHzあたりの方が聴きやすいことがあります。
しかし、市販されているラジオの多くが、周波数は1610kHzまで、というのがほとんどです。その結果、ハイウェイラジオも、おおさかマーチスも聴くことができない場合があります。
電器屋さんでラジオを探すときは、この周波数も受信できるラジオを探してみると良いでしょう。数千円のポータブルラジオでも受信できる場合があります。