世界の国々ではクリスマスに様々な定番料理を食べる習慣がありますが、フライドチキンやチキンの丸焼きをこぞって食べるのは日本くらいなのだそう。一体なぜなのでしょうか? 立命館大学・食マネジメント学部の南直人教授に話を聞きました。
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「そもそもキリスト教徒が少ない日本において、ここまでクリスマスをお祝いするのは非常に不思議なことだ」と南教授。とはいえ、クリスマスチキンや豪勢なケーキを食べるのは今や“正月のおせち”くらい日本人の文化に根付いています。主な理由としては以下が挙げられるそう。
【食ビジネスによって定着した】
バレンタイシーズンなるとチョコレート売り場に人々が群がるように、クリスマスにも“食ビジネス”が大きく影響していると考えられるのだとか。いつ頃・誰が始めたかは不明ですが、「クリスマスにはフライドチキンやチキンの丸焼きを食べるのが良し」というビジネス戦略によって定着したと考えられます。
【かつて鶏肉はごちそうだった】
高度経済成長期の頃の日本では、鶏肉は他の肉に比べて高価なものだったそう。ちなみに東京の焼き鳥屋などに行くとなぜか豚肉の串焼きがメニューに並んでいますが、これはかつて鶏が高級品だった頃に仕入れ値が安価な豚肉を鶏と称して提供していたことの名残りだとか。のちに鶏肉は大量生産され価が下がり、そのタイミングで“聖夜グルメのごちそう”としてクリスマスチキンが食べられるようになったと考えられています。
【昔の日本は台所にはオーブンがなかった】
欧米では“標準の設備”としてキッチンに大型オーブンが設置されています。ローストチキンを気軽に家庭で作ることができるため、日本に比べてかなり身近な食べ物だと言えます。一方、日本においては今でこそ生活家電として普及しているものの、かつては鳥を丸ごと焼けるオーブンを持つ一般家庭はかなり少なくローストチキンを食べる機会はまずありませんでした。そのため“特別感のあるもの”となり、クリスマスなど特別な日のごちそうとして受け入れられたのだそう。
【サンクスギビングの影響】
サンクスギビングとは、アメリカの11月の祝日である感謝祭。この日には七面鳥の丸焼きを食べる風習があり、これが日本に伝わった際に「特別な日には鳥の丸焼きを食べる」という考えが生まれた可能性もあるとか。ただし日本では七面鳥が一般的でないため、ニワトリが代用されているのだそうです。
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クリスマスだけでなく正月やお盆などの「特別な日」に食べる料理についても調べてみると、何かおもしろい発見があるかもしれませんね。
※ラジオ関西『Clip』2024年12月10日放送回より