イタリア・シチリア島の南90キロに位置し、主に3つの島からなるマルタ共和国。その中でも一番大きな島・マルタ島では、黄色や赤などビビッドなカラーに彩られた漁船が港に並びます。日本における漁船のイメージからはかけ離れた光景ですが、どういった意味があるのでしょうか? マルタの文化や歴史、観光情報などを発信する「マルタ観光局」に、詳しく教えてもらいました。
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カラフルな漁船で知られるのは、マルタ最大の漁村「マルサシュロック」です。マルタ島の南東部にあるこの地には、日曜日の午前中におこなわれる「サンデーマーケット」や地中海の恵みをたっぷり使ったシーフード料理などを目当てに、多くの観光客が訪れます。そんなマルサシュロックの港に停まっているのが、「ルッツ(Luzzu)」と呼ばれるマルタの伝統的な船です。
「ルッツは基本的に漁船として使用されています。沿岸および外洋での漁業のため、年間を通じて運航しますが、観光向けにミニクルーズなどを行うルッツや、エンジンを外して景観のために停泊しているルッツもあります」(マルタ観光局)
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ルッツは船によって異なるものの、緑・黄・白・青・赤などの色でペイントされており、なんとも目を惹くカラーリング。日本の漁船といえば白が基調のシンプルなデザインというイメージが強いため、なぜそのように派手な外見になるのかが気になるところ。
「装飾は主に美的な意味合いで施されていますが、マルタにおける伝統的な漁船の文化的アイデンティティにもなっています。また、今では同じカラーリングが木製のドアや窓のシャッターの装飾・ロゴ・エンブレム・土産物にも使用されており、マルタの代表的な色としても知られています」(マルタ観光局)
色にはそれぞれ以下のような意味があります。
【黄色】太陽の光と繁栄を象徴し、漁師に幸運をもたらす
【赤】保護と強さを象徴する大胆な色
【青】海と空を反映し、船の自然環境を反映
【緑】豊穣と成長を連想させ、豊漁を願う
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また、ルッツはそのカラーリング以外にも特徴があります。それが船首に描かれた「二つの目」です。