子どもの頃、お菓子を食べていたら「甘いものを食べすぎるとむし歯になるよ」と言われたことはありませんか? ですが、実は「食べる」よりも「飲む」ことの方が“むし歯リスク”が高いのだそうです。どういう事なのか、歯の専門家に話を聞きました。

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むし歯ができる原因には、どんなものがあるのでしょうか。森永製菓が運営する、口内の健康情報サイト『森永おくち研究所』で監修を行う小林冴子先生(鶴見大学歯学部・小児歯科学講座助教)は、「大きく分類すると“4つの因子”が関わっている」と話します。
その因子とは「歯の質・細菌・食物・時間」の4つ。むし歯は感染症であると同時に生活習慣病とも言われており、習慣の差から「なりやすい人」と「そうでない人」が存在するそうなのです。

「とくに乳歯や初期のむし歯は痛みがないまま進行することも多いですね。自覚症状のない状態で細菌感染が神経(歯髄)に達することがあるという点で、非常に恐ろしい疾患といえます」(小林先生)
さて、冒頭で「食べるよりも飲む」方がむし歯リスクが高いと述べましたが、やはりジュースの方がむし歯になりやすいのでしょうか?

「習慣化した摂取がリスキーとなるのは、ジュースの方かもしれません。むし歯菌が最も好む食物はショ糖、つまり砂糖です。お菓子もジュースも砂糖が多く含まれる食品ですが、ジュースはお菓子よりも一度に摂取する糖分が多くなりやすく、ダラダラと何度も口にしてしまう特徴があります。『糖類を含む飲み物』は間食に含まれるのですが、その意識が薄い方は少なくないかもしれません」(小林先生)

「ジュースの方がむし歯に歯になりやすい」ことの理由は糖分だけではないのだとか。ジュースそのものの「性質」も大いに関係しているのだそう。
「酸性とアルカリ性の度合いを示すpH(ペーハー)という値があり、歯はpH5.5以下に晒されると溶け始めてしまいます。これを『臨界pH』と呼びますが、ほとんどのジュース類がこの臨界pHを下回っています」(小林先生)
こうした飲料を何度も摂取していると本来は唾液の力で歯が溶けないように中和する働きが効かなくなり、むし歯が成立する環境が整ってしまうそうです。「お菓子は種類に気を付けることが大切ですが、ジュースは全般的に注意が必要です」と小林先生は強調し、注意喚起しました。