シンガーソングライター・音楽評論家・ウェブライターなど幅広く活躍する中将(ちゅうじょう)タカノリが、2月21日にニューアルバム『みなとまち』をリリースしました。その新作に込めた思いについて、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で明かしました。
中将自身にとっては、2011年の『PLASTIC JEWELRIES』以来、実に14年ぶりとなるアルバムのリリース。「楽曲自体やビジュアルは全部できていたが、コロナ禍で音源制作がストップして、今年のデビュー20周年にあわせてようやく完成させることができた」という『みなとまち』に込めたメッセージは、「現代における格差、差別など社会問題への警鐘」だといいます。
神戸に住んで13年、いま生活の拠点となる湊川の地が、アルバムのタイトルに。「そこで気付いたこと、感じたこと」をテーマにした9曲が入っていますが、今回は港町が抱える哀愁をあえて描いたそうです。
「神戸ってお洒落でキラキラしたしたイメージがあるじゃないですか。でも住んだら全然違うんですよ。都心を少し離れたら延々と下町が続いているし、阪神・淡路大震災の物理的、心理的傷跡もある。あと地域や人種に関する差別感情も激しいなと思いました。神戸の人ってよく『あの地域は〇〇だから』ということを言いがちじゃないですか。僕は神戸が大好きですけど、今作ではあえてそういう“街がかかえる哀しさ”にスポットを当ててみました」
「でも、そういう哀しさって、日本のいたるところで形を変え存在するのかもしれないなと。『みなとまち』は神戸で見聞きしたことを元に作った曲ばかりですが、きっといろんな方に共感してもらえると思っています」

1曲目に収録されているタイトル曲『みなとまち』について、中将は「重苦しいストーリーでも、導入には明るさがあるほうが好き。今作は一人の女性が神戸に生まれ育ち、やがて街を後にするまでのストーリーであり、幸せだった子ども時代の回想」と、楽曲を解説。
ラジオ番組でともにパーソナリティーをつとめる橋本菜津美(シンガーソングライター・インフルエンサー)は、「重さもあるテーマですが、この曲はむしろほのぼのと軽快な感じ」と表現していました。