日本で3番目に古い公立美術館、大阪市立美術館(大阪市天王寺区、天王寺公園内)が大規模な改修工事を終えてこのたび再オープン、そのお披露目となる特別展「What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!」が同館で開かれている。約8700件に及ぶ所蔵品の中から、学芸員が選んだ約250件を最新式のディスプレーで紹介。3月30日(日)まで。


大阪市立美術館は昭和11(1936)年に開館。2022年秋から休館し、大規模な改修工事を行ってきた。今回のリニューアルでは、国の登録有形文化財である建物の良さを生かしながら耐震補強を行い、最新式の展示ケースや照明デザインを採用。バリアフリーな新エントランスをつくったほか、中央ホールを無料ゾーンとした。また、正面入り口前にある広場と、同館に隣接する日本庭園「慶沢園」(大阪市指定文化財、入園は別途料金が必要)をのぞむテラスとカフェを新設した。あわせて展示替えに伴う休館日数を減らし、年間300日の開館を目指す方針。内藤栄館長は「大阪にいながら、世界につながる美術館にしていきたい」と話した。


「What’s New!~」では学芸員が「名品」か「珍品」かをジャッジ、それぞれ展示品のキャプションに表示しているのがユニークだ。「名品」は、現在放送中のNHK大河ドラマ『べらぼう』の主人公モデルでもある江戸時代の版元・蔦屋重三郎と絵師・東洲斎写楽による『三代目市川八百蔵の田辺文蔵』(江戸時代・寛政6[1794]年)、鍋島焼の逸品『青磁染付 青海波宝尽文皿』(同時代・18世紀)、そして同館が誇る中国石仏コレクションの1つ『石造 菩薩交脚像龕』(中国・南北朝時代[北魏]・5世紀後半)など。ちなみに同作がある「中国の仏像」コーナーは全作品が「名品」となっている。


一方、「珍品」も多彩。本体だけで高さ3.5メートルもある中国書画は、このたび新設された特大展示ケースにて初お目見えした。あまりにも長かったため、これまでは展示が不可能だったという。ほかにも本物のアワビに不老長寿の象徴であるカメを描いた奇抜な杯『蓑亀蒔絵杯』(江戸-明治時代17~19世紀)、「名品」「珍品」両方記載の工芸品『青銅鍍金銀 羽人(うじん)』(中国・後漢時代 1~2世紀)なども。羽人は両手を挙げ、ひざまずく独特の姿勢をした仙人で、そのボーズから、今後、同館を支えていく新キャラクターに選ばれた。羽人が展示されたガラスケースの橫には、思わず笑ってしまう羽人の「履歴書」も掲出されている。
