アフタヌーンティー活動、略して「ヌン活」。2022年に流行語大賞にノミネートされるなどブームとなり、現在でも各ホテルで競うように開催されその勢いは広がり続けています。
さて、アフタヌーンティーと聞いて思い浮かべるのが「3段のお皿」。なぜあのようなセッティングなのでしょうか? 英国アフタヌーンティー研究家・藤枝理子さんに話を聞きました。

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「正式には“アフタヌーンティースタンド”と呼びます。3段である理由は、サービスを簡素化するために考案されました。いわば便利アイテムですね」(藤枝さん)
藤枝さんによると、アフタヌーンティーは英国上流社会で行われていた「ティーセレモニー」がもとになっているのだとか。その時にはまだアフタヌーンティースタンドは存在していなかったといいます。
19世紀・ヴィクトリア時代の後期になり、アフタヌーンティーとしてその文化が開花します。当時、貴族のアフタヌーンティーでは「ティーフーズはたっぷりと用意する」という“お約束事”があり、品数がどんどんと増えていきました。しかしこの時代、家具は小ぶりのものが好まれ、テーブルのスペースに限りがあったのです。
そこで登場したのが、サイドテーブルが2段3段と重なった「ダムウェイター」という家具でした。しかし中流階級が暮らす家のスペースには大き過ぎたため、小ぶりの折りたたみ式の木製3段スタンドが誕生。その後、ホテルアフタヌーンティーの浸透に伴い、さらに小型化し卓上型に進化させたシルバーの3段スタンド(アフタヌーンティースタンド)が登場しました。
省スペースだけでなく一度に運べるうえ、効率よくサービスができるアフタヌーンティースタンドは限られた空間で大勢のゲストを迎えるホテルにとっては格好のアイテムに。どんどん普及が進んでいき、現在まで様々なカスタムを経ながらも原型はとどめているのです。





