兵庫の未来は“人と起業”から みなと銀行社長が語る『将来性重視』の再成長戦略 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

兵庫の未来は“人と起業”から みなと銀行社長が語る『将来性重視』の再成長戦略

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 兵庫・神戸の地で、長年にわたり地域経済を支えてきた、みなと銀行。現在、従来の融資スタイルを見直し、スタートアップ支援や人財還流の促進などを通じて、地域の可能性を広げる取り組みを進めています。その陣頭指揮を執るのが、同社の持丸秀樹代表取締役社長です。

 このたび、ラジオ関西の番組『絶対わかる経済ニュース 知らんけど』(パーソナリティー:DJ Nobby)の単独インタビューに応じた持丸社長。兵庫の経済の可能性や未来、そしてみなと銀行の新たな戦略について語りました。

みなと銀行の持丸秀樹代表取締役社長

◆「人と起業」で生まれる兵庫の新しい成長

 持丸社長は「モノづくり文化が根付き、中小企業も多い。さらに神戸製鋼や川崎重工、アシックス、シスメックスといった世界に誇る企業も集まる環境があり、兵庫県のGDPは高いポテンシャルを持つ」と、県内産業の力強さに言及。そのうえで、「既存の企業群に加えてスタートアップを育成し、新たなイノベーションを生み出せば、兵庫はさらに良くなると確信している」と展望を語りました。

◆若手人財の“7割3割問題”に銀行が挑む

 一方で、産業の担い手となる若手人財の確保は大きな課題のひとつ。兵庫県には神戸大学や関西学院大学をはじめとする有力大学が多くあるにもかかわらず、「県内の学生の7割が県内就職を希望しているのに、実際は3割しか残らないという『7割3割問題』がある」と懸念を示します。

 この課題解決に向け、同行では7月から企業向けの新たな採用支援サービスを展開。セミナー開催や内定者教育、手続き支援などを一体的に提供し、学生と企業の接点づくりを進めます。そのうち、大学近くに設ける企業と学生の交流拠点では、学生に企業情報を届けるだけでなく、学生と企業のマッチングの場としても活用するとのことです。

◆スタートアップ支援と、金融のあり方の変革

 人財支援と並んで力を入れているのが、ベンチャー企業やスタートアップへの支援です。グループ会社であるベンチャーキャピタルを通じて、地域のアーリー・ミドルステージ企業を支援。加えて、神戸市との共同ファンドでは、シード・アーリーステージ企業に特化した支援を展開しています。「地域貢献とスタートアップ支援を連携させている」と持丸社長は述べます。

 さらに、融資の分野でも変革を進めています。持丸社長は次のように説明します。

「これまでは実績に基づく融資が中心でしたが、今後は新しい事業や将来性のある事業を積極的に評価します。専任の部門を設けて、事業そのものの価値を見極める体制を整えました。昨年度スタートした『みなと成長応援ファンド』では、現状赤字でも将来のキャッシュフローが見込めれば支援の対象にしています。これは銀行としての大きな転換点です」

「担保ではなく、事業の将来性を見極める力が、これからの銀行に求められています。支援に地域限定は設けていませんが、主なマーケットは兵庫県。ESGやSDGsなど、未来社会に貢献する事業を展開する企業には特に注目しています」

 ファンドの規模は100億円。「これはリスクテイクの枠組みであり、まずはコントロールしながらスタートしますが、事業性評価に基づく融資が主流となれば、上限は不要になると考えています」と力を込めます。

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 持丸社長の言葉からは、みなと銀行が単なる金融機関にとどまらず、兵庫の未来を共に描く「伴走者」であろうとする強い意志が感じられました。担保主義から事業性重視への転換、スタートアップ支援の強化、人財還流の促進と、地域経済の活性化に向けた包括的な戦略が印象的です。

 34年にわたり現場から経営まで幅広く経験してきた持丸社長は、自らを「日本一敷居の低い社長」と語ります。その姿勢は、地域密着型金融機関の未来像そのもの。顧客との距離の近さを活かし、一人ひとりの課題に寄り添う姿勢こそが、デジタル化時代における地方銀行の競争力になるのかもしれません。

 みなと銀行が掲げる「再成長」は、地域を巻き込んだ壮大なビジョンとして、今後も注目が集まりそうです。

ラジオ関西『絶対わかる経済ニュース 知らんけど』より、単独インタビューの様子

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