兵庫県宝塚市の住宅で年2020年6月、同居する親族らにボーガン(クロスボウ・洋弓銃)を撃ち3人を殺害、1人に重傷を負わせたとして、殺人などの罪に問われた無職の男(28)の裁判員裁判で、神戸地裁は10月31日、無期懲役(求刑・死刑)を言い渡した。

判決によると、男は2020年6月4日午前5時ごろから10時10分ごろまでの間に自宅で、祖母(当時75)、母親(同47)、弟(同22)の頭部にボーガンの矢を放って殺害し、伯母(現在55)に対しても、首の骨を折るなどの傷害を負わせたとされる。

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判決を受け、伯母が報道機関各社へ寄せたコメントは次の通り。伯母は10月15日にも法廷で意見陳述し、遮へい板越しに「PTSD(心的外傷後ストレス障害)のフラッシュバックで、事件当時の恐怖や苦しさが再現される。あなた(被告)の行動は絶対に許されない。あなたはあまりにも大きな、取り返しのつかないことをしてしまった」などと述べた。
死刑になりたいという、彼(被告の男)の希望は通りませんでした。
当たり前ですが、法律や裁判は、彼の道具ではありません。
彼は犯した罪に向き合い、後悔し、反省しなければなりません。その機会が与えられた、命ぜられたということだと思います。
彼が事件まで、強迫性障害などで辛い日々を過ごしてきていたことは、側で見ていた私たちも少しはわかっているつもりです。
でも裁判での彼は、自分の考えをしっかり述べることができていました。そして、心の奥底では罪悪感から逃げられないでいることもわかりました。
事件当時の精神状態がどれだけ辛かったとしても、事件後に心に蓋(ふた)をしてきたとしても、自分の罪がどんなに許されないことか、目を背けず向き合うことのできる心を取り戻すことができると思います。その命が尽きるまで、真摯に罪と向き合えることを信じて願っています。
殺された3人の命は、未来はとり戻せない。苦楽を分かち合ってきた家族は突然すべてを奪われ、皆、互いにどれだけ悔しかっただろうと、無念だっただろうと思わずにいられません。



