あたたかい料理が恋しい季節となってきた今日この頃。鍋をする頻度も高くなってくるのではないでしょうか。さて、具材として使われる海鮮の代表格といえば海老。身のおいしさはさることながら、頭部に詰まった「ミソ」を楽しみにしている人も多いのでは? そのまますすったり頭部を焼いて丸ごと食すなど楽しみ方は人それぞれですが、筆者が気になっているのが「ミソの正体は一体何なのか」ということ。なんとなく「脳みそ」のような気もしますが……。そこで、魚食普及推進センターの早武さんに詳しい話を聞きました。

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「本来、脊椎動物は肝臓と膵臓は別で備わっています。ですが海老はこの2つの臓器が合体し、ひとつの器官として存在しています。肝膵臓というものでこれがエビミソの正体です。別名、中腸線とも呼ばれています」と早武さん。中腸腺は食物を消化するだけでなく栄養分を貯蔵するという働きもあるため、人はこれを口にするとおいしく感じるのだといいます。

汁ものに使う「味噌」に見た目が似ていることからエビミソと呼ばれるようになったのだとか。早武さんによると、「エビを煮込んだ汁に深い味わいを感じると思いますが、この旨みも中腸腺から出ています」とのこと。ちなみに、エビミソを食べたら「酸っぱかった」「苦かった」というのは、胃袋と一緒に食べてしまっているからだそうです。

ミソといえば蟹を思いうかべる人も多いと思いますが、カニミソの正体もやはり中腸腺とのことでした。

(取材・文=堀田将生)




