暦が告げる寒の季節 地域で続く神社行事と干支の巨大絵馬 兵庫・姫路

LINEで送る

この記事の写真を見る(4枚)

 新年を迎え、華やかな正月のにぎわいの一方で、暦は静かに次の節目へと進んでいきます。暦の上では、1月5日ごろから二十四節気の「小寒」を迎え、「寒の入り」とも呼ばれる時期に入ります。立春前日まで続く「寒中」の始まりとされ、「小」という字が使われているものの、実際にはこの頃から寒さは一段と厳しくなり、本格的な冬の到来を感じる季節です。

 古くからこの時期には、寒稽古や味噌・酒の寒仕込みなどが行われてきました。雨は「寒雨」、雪は「寒雪」と呼ばれ、言葉の上でも冬の厳しさが表現されています。自然の変化を感じ取りながら暮らしを営んできた先人たちの知恵は、今も言葉や年中行事として受け継がれています。

 播磨国総社射楯兵主神社(兵庫県姫路市)では、元日のきょうから1月31日まで、新春祈願祭が毎日執り行われます。家内安全や商売繁昌、会社繁栄など、それぞれの願いを胸に、多くの人が参拝に訪れています。「初詣は三が日だけのものと思われがちですが、1月を通して祈りを捧げることができるのも、神社ならではの魅力です」と、同社祭務部の尾崎祐彦さん(※「崎」=たつさき)は話します。

播磨国総社射楯兵主神社 本殿
播磨国総社射楯兵主神社 本殿

 1月中旬には、正月行事の節目となる行事も続きます。14日から16日にかけては「初ゑびす祭」が斎行され、商売繁昌や除災招福(じょさいしょうふく)を願う参拝者で境内はにぎわいます。期間中、本殿西側では正月飾りや、注連縄、古いお札、古いお守りを、お祓いした火を用いて焚き上げる「とんど神事」も行われ、14日朝には点火の神事が執り行われます。お焚き上げは昼夜を問わず続き、16日昼ごろまで行われる予定です。

 この時期は、1月15日の「小正月」にもあたります。小正月は、歳神(としがみ)を見送り、正月行事に一区切りをつける大切な節目とされてきました。華やかな元日とは異なり、農耕生活に根ざした素朴で共同体的な行事が中心となるのが特徴です。とんど神事も、そうした小正月の風習と深く結びついています。

 さらに、1月20日ごろからは二十四節気最後の「大寒」を迎えます。一年で最も寒さが厳しい時期ですが、その先には立春が控えており、暦の上では春を迎える直前の時期でもあります。厳しい寒さの中にも、次の季節へと向かう気配が感じられる頃です。

 新年の節目を象徴するものの一つが、干支にちなんだ大絵馬です。播磨国総社では、ことしも「干支の大絵馬」が奉納されました。

 手がけたのは、姫路市出身の画動家・不動貴雄さん。毎年、干支をテーマにした大絵馬を奉納しており、今回で11年連続となります。

 大絵馬は縦およそ2メートル、横およそ3メートルの大作で、境内の長生殿(ちょうせいでん)にて元日から掲げられ、初詣に訪れた人々の目を引いています。その年の時代背景や新年への想いを映し出すように描かれた作品は、単なる正月飾りにとどまらず、地域の風物詩として親しまれてきました。

大絵馬奉納奉告祭の様子 提供:播磨国総社射楯兵主神社 
大絵馬奉納奉告祭の様子 提供:播磨国総社射楯兵主神社
大絵馬奉納奉告祭の様子 提供:播磨国総社射楯兵主神社
大絵馬奉納奉告祭の様子 提供:播磨国総社射楯兵主神社

 今年の作品「麟麒神使(りんきしんし)」について、不動さんは「溌剌とした時勢に沿って、想いを乗せて筆を取らせて頂きました」と話します。神獣である「麒麟(きりん)」は、「麒」が雄で「麟」が雌を表すとされ、本来は「麒麟」と書くのが一般的です。今回は「時代の変革期、女性首相の誕生を象徴的に準(なぞら)えて、麒と麟の順をあえて逆にいたしました」と、その意図を語ります。

LINEで送る

関連記事