阪神・淡路大震災から1月17日で31年を迎え、久元喜造・神戸市長がラジオ関西などのインタビューに応じ、「防災面で想定外を想定内にする努力を続けたい」と訴えた。

久元市長は、災害の記憶の継承について、 「30年経つと記憶が薄れるという言説『30年限界説』は腑(ふ)に落ちない」と話す。そして、「この30年間、東日本大震災や能登半島地震などが起き、そのたびに阪神・淡路大震災が見直されることもあった。NPOや語り部などが継承活動を行う機会や、そうした団体が減っているのは事実だが、今後も継続してもらえるように、追悼行事や語り部の活動の場と若い世代が議論する機会を作り、若い世代が新たな知恵や発想で災害対応を考えることにも敬意を払うのが、行政の役割だ」と述べ、行政としてさまざまな形で記憶を継承する活動をサポートする重要性を訴えた。
具体的には、学生や企業、NPO団体が地域の防災力の向上に参画する取り組みが挙げられる。久元市長は、「市民が助け合って街をよみがえらせた神戸でも、人と人のつながりが薄れている」と懸念し震災の記憶や教訓を語り継ぐため、「記憶に寄り添い、思いを共有できるような姿勢を持ち続けなければならない」と語る。
さらに、今年(2026年)11月にも設置される防災庁への期待や要望について、「災害予防と災害応急対策、災害復旧の3つの局面で強力な調整能力を持った司令塔の役割を」と期待する。そして、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用で、迅速に情報を一元化し、国の指揮下で統一的に運用されるようにしてほしい」と切望した。その背景には、新型コロナウイルス禍での国の対応があった。久元市長は従前から情報集約の不備について問題提起しており、「ワクチン供給に関して、現場(市町村単位に)に届かない、確保できない状態が生じた。神戸市では当時、予約していた市民一人ひとりにキャンセルの電話を入れるなど対応に追われた」などとして、国と都道府県、市町村との情報共有の甘さが露呈した点を指摘している。さらに「地方拠点として兵庫県内での設置を想定するなら、その役割や条件の検討やなど、県が主体的な役割を果たし、関西広域連合などで広域的に議論すべき」とも述べた。

防災DXも神戸市にとって重要な課題だ。大規模災害時には、避難所以外にいる住民の安否を迅速に把握することが課題とされる。地域での安否確認はこれまで、個別の連絡や目視など限られた手段に頼り、情報の収集と共有に時間を要するケースがある。そこでLINEを活用して住民一人ひとりの安否状況を選択形式で回答できるシステムを導入し、地域内での情報共有の効率化を図り、回答結果を地図上で可視化するといった災害掲示板の導入をはじめ、水門のリモート(遠隔)開閉、危機管理システムの一元管理などにも力を注ぎ、「防災面で想定外を想定内にする努力を続けたい」としている。
全国的に、防災福祉コミュニティの担い手不足が指摘されている。神戸市でも、今年度に設置した「地域防災力の向上に関する検討委員会」でこの問題が課題となった。防災福祉をつかさどるコミュニティを対象に実施したアンケートでは、その多くで活動能力が低下していることが明らかになった。この対応策として久元市長は、避難所開設キットの整備、避難所運営マニュアルの簡素化を挙げ、「来年度予算で間仕切りや暖房、ベッドなどの備えを強化するための予算措置を検討している。また、NPOや企業、学生などの参画で『地域協働』を進め、”顔の見える地域社会”をつくり、地域防災力向上につなげたい」とした。





