厳しい寒さが続くこの時期、温泉で体を温めたいと感じる人も多いのではないでしょうか。温泉といえば「浸かるもの」というイメージが一般的ですが、かつて「飲む」という文化が根付いていた所もあったとか。詳しく取材しました。
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“温泉を飲む=飲泉”の文化があったのは「塩田温泉」。兵庫県姫路市の山あい、夢前町に位置します。同温泉は湯治場として人々の暮らしに寄り添ってきたそう。泉質は炭酸水素塩と塩分を含み源泉温度が17度前後の冷鉱泉で、ボーリングを行わず自然湧出を守り続けているのだとか。
温泉のある上山旅館・支配人の上山真一郎さんによると、「昔は一日一升飲めば胃腸が治ると信じられていました。湯船と飲み場が隣り合っており、入浴しながら源泉を口にする光景も珍しくなかった」とのこと。
現在、温泉をそのまま飲む機会は限られていますが飲泉の考え方は形を変えて受け継がれています。そのひとつが源泉を使って炊いた「湯壺がゆ」。調味料を使わず、温泉由来のほのかな塩味をいかしています。
地域の歴史を今に伝える料理も残されており、代表的なものが「狸食(たぬくい)」なるもの。温泉近くにある山城・置塩城で戦国時代に出されていたとされる宴席料理で、一見すると白飯ですが食べ進めると中から具材が現れます。食べた人が「まるで狸に化かされたようだ」と驚いたことから、その名が付いたと伝えられています。今は当時のものを参考に、現代風にアレンジされた狸食を味わうことができるとか。
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時代とともに姿を変えながら地域の中で生き続けている温泉は、ここ以外にも各地に点在しています。歴史や食文化を調べてみるとおもしろい発見ができるかもしれません。

(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西「谷五郎の笑って暮らそう」2026年1月25日放送分より





