赤穂市民病院(兵庫県赤穂市)で2020年、手術で誤って神経を切断された患者が後遺障害を負った医療過誤事件で、業務上過失傷害罪に問われた元医師の男(47・退職)の初公判が2月9日、神戸地裁姫路支部で開かれ、元医師は起訴事実を認めた。
起訴状によると、元医師は赤穂市民病院・脳神経外科に勤務していた2020年1月、 腰椎の神経が圧迫され、腰から下のしびれや痛みを覚える「脊柱管狭窄症」と診断された女性(80)の腰椎の一部を削り取る手術をした際、出血で患部の目視が困難な状況なのに、止血措置を十分に行わず医療用ドリルを作動させ、誤って脊髄の神経を切断したとされる。女性は両足のまひなど、重度の後遺障害を負った。医療ミスについて刑事裁判で審理されるのは異例。
検察側は冒頭陳述で、「元医師は、 手術で助手を務めた指導医から止血するよう促されたのに、血を吸引しただけで、威力の高いドリルを使い施術した」と指摘。弁護側は「指導医が適切な指示をしていれば事故は起きなかった。元医師だけに責任を負わせるのは相当でない。指導のあり方にも問題がある」と主張した。
女性とその家族は2021年8月、被告と赤穂市に損害賠償を求めて提訴。この民事裁判で神戸地裁姫路支部は2025年5月、「女性の腰椎は出血で視認が難しくなっており、ドリルで神経を巻き込んだ」と、医師の注意義務違反を指摘し、賠償を命じた。
民事裁判では、病院側の女性に対する説明にも配慮があったとは言えないとした。この医師をめぐっては、2019年 ~20年に執刀した手術で、2人が死亡、6人に障がいが残る計8件の医療事故が起きており、病院側が医療過誤と認定している。




