1日、大阪市立美術館(大阪市天王寺区)は開館90周年を迎えた。節目を記念する特別展「全力!名宝物語 ―大阪市美とたどる美のエピソード」が現在、同館で開催されている。美術館が歩んできた歴史とともに、名宝の多彩な魅力や背景にある“物語”をひもとく内容で、約220件の優品を前後期に分けて公開する。

大阪市立美術館は1936(昭和11)年、住友家からの寄贈品を基に開館。戦時中は建物の一部を陸軍が利用したり、戦後もGHQによる接収を受けるなど時代に翻弄されながらも、多様な文化財を収集・保存。日本を代表する公立美術館の一つとして歩みを重ねてきた。今回の展覧会では、90周年の歴史を振り返りつつ“物語”をキーワードに、作品にまつわる逸話や収集の経緯、研究の成果などを紹介。“美の継承”の意義を改めて問いかける構成とした。
プロローグでは、同館のアイデンティティーとも呼ぶべき選りすぐりの品々を紹介。女性として初めて文化勲章を受けた上村松園(1875~1949年)の「晩秋」は、住友家が寄贈を前提に全費用を負担して開催した「関西邦画展覧会」(1943年)で展示された優品。青無地の着物を着た女性が障子を繕う様子がシンプルな画面に格調高く描かれている。
同館にとって初めての館蔵品である橋本関雪「唐犬」も展示。落成記念の第1回帝展(1936年)に出品され、そのまま購入となった作品で、犬の毛並みや色の違いが鮮やかに描き分けられている。また、市民派弁護士・衆議院議員の田万清臣(1892~1979年)とその妻が集めた「田万コレクション」の仏教美術品群は、特筆に値する。全体が透彫りの宝相華に覆われている「銀鍍金透彫 宝相華文経箱」(南北朝時代・14世紀)は同コレクションを代表する美術品だ。

展示は「3話」仕立て。「第1話」は「物語の美術」を特集する。とりわけ目を引くのは「百鬼夜行絵巻」(江戸時代・18~19世紀/会期中、巻替えあり)で、琵琶や琴、釜、鍋、仏具などの多様な妖怪たちが行列する様子を描画している。ストーリーは分からないが、生き生きとした表現から、物語を自在に想像できる。そのほか国宝「物語下絵料紙金光明経 巻第二」(鎌倉時代・1192年頃/前期展示)や重要文化財「仏涅槃図」(鎌倉~南北朝時代・14世紀、長寳寺蔵/同)なども展示。





