――ちなみに、実際に憧れの貫井徳郎さんにお会いされたそうですね。いかがでしたか。
はい、ドラマの撮影見学に東京に行った際に、先輩の作家さんに紹介してもらってお会いすることができました。あまりに興奮しすぎてしまって、ほとんど覚えていないですね。
――貴戸さんはすごく落ち着いたたたずまいの方だとお見受けしますが……。
いえいえ、パニックでバーーーーーっとまくし立ててしまって……。その記憶が中途半端に残っているのが悲しいですね(笑)。
◆ミステリー作家になるまで
――「震えるような読書体験」をさせてもらった憧れの作家さんですからね、当然かもしれせん。さて、そんな「震えるような読書体験」というものには私も共感できますが、それで自分もミステリーの道を行こうと決意したのがすごいですよね。具体的にいつ頃から作家活動をされているのでしょうか。
私は社会人になってから間もなくすぐに仕事を辞めたのですが、その時期ですね。そこでできた時間を使って何か作品を書いてみようと。
――実際に作品を初めて書いたのは社会人になってからですか。
いいえ、最初は中学生でしたね。ただ、ライトノベルのようなものですね。途中で断念してしまって、作品としてはうまくいっていないです。このときは封印しましたね。
――次が思い浮かばない……みたいな?
貴戸湊太『そして、ユリコは一人になった』(宝島社文庫)
第18回『このミステリーがすごい! 』大賞、U-NEXT・カンテレ賞受賞作! 私立百合ヶ原高校には奇妙な伝説がある。代々、ユリコという名を持つ生徒は「ユリコ様」として絶対的な権力を持ち、彼女に逆らう者には必ず不幸が訪れるという。ただしユリコ様になれるのは一人だけ。ユリコが複数人いた場合、彼女たちにも不幸が起こり、一人だけに淘汰される。図らずもユリコ様候補となった新入生・矢坂百合子は伝説を聞いて戸惑うが、才色兼備の親友・美月になだめられ、単なるオカルトと思い込もうとする。しかしその矢先、ユリコの名を持つ生徒が一人、屋上から転落死した。そして、それを契機としてユリコが次々と殺されていく――。誰が彼女たちを殺したのか、ユリコ様とは何なのか。学校の伝説を隠れ蓑にして、人々の悪意が、恐るべき殺戮劇を繰り広げる!
価格 本体700円+税
発売日 2020年2月6日
ページ数 336ページ
ISBN : 978-4-299-00221-1
宝島CHANNNEL(宝島社)ホームページより https://tkj.jp/book/?cd=TD002211&path=&s1=