――デビュー作についてうかがいます。『そして、ユリコは一人になった』は完成までどれくらいの時間がかかりましたか。
実はそれほどの時間をかけていないんですよ。まずアイデアベースであらすじを立てるのですが、これは2~3日で終わってしまいました。本編自体も2週間から3週間の時間で書き上げましたね。この作品は本当に何もかもうまくかみ合って進んだというのが振り返った感想です。
――すべて含めると325ページありますが、これを2週間から3週間で……! 執筆中に大変だったことはありましたか。
執筆自体は一気に進んだんですけれども、この後の直しが大変でした。辻褄が合っているかなぁ、大丈夫かなぁと確認するのに苦労しました。
――いつも読み直しはおひとりで?
実は、非常にありがたい友人がひとりおりまして。読んだ感想を素直に言ってくれる人がいるんですよ。その意見を反映して一緒に作っています。いつも読んでもらっています。量も多くて大変かもしれませんが。
――そうやって感想をきいたり、自分で直したりするわけですね。
毎回作品を書くたびに私は最低でも3回は見直しています。ふと読んだ4回目に間違いが見つかるときもあります。
――やっぱりページ数も膨大ですもんね。さて、賞を受賞され、デビューも決まり、今度はドラマ化。エゴサーチも頻繁にされるとうかがいましたが……。
私は多分かなりエゴサーチする部類に入ると思います。主にツイッターでやってます。まずは『そして、ユリコは一人になった』という書名、その後に「ユリコ」で検索。さらに自分の名前でも検索……。かなりしますね。厳しい意見に落ち込むこともありますが、励まされるコメントもあるので、それを読んで頑張ろうという感じです。だからエゴサーチは今後も続けていきます!(笑)
貴戸湊太『そして、ユリコは一人になった』(宝島社文庫)
第18回『このミステリーがすごい! 』大賞、U-NEXT・カンテレ賞受賞作! 私立百合ヶ原高校には奇妙な伝説がある。代々、ユリコという名を持つ生徒は「ユリコ様」として絶対的な権力を持ち、彼女に逆らう者には必ず不幸が訪れるという。ただしユリコ様になれるのは一人だけ。ユリコが複数人いた場合、彼女たちにも不幸が起こり、一人だけに淘汰される。図らずもユリコ様候補となった新入生・矢坂百合子は伝説を聞いて戸惑うが、才色兼備の親友・美月になだめられ、単なるオカルトと思い込もうとする。しかしその矢先、ユリコの名を持つ生徒が一人、屋上から転落死した。そして、それを契機としてユリコが次々と殺されていく――。誰が彼女たちを殺したのか、ユリコ様とは何なのか。学校の伝説を隠れ蓑にして、人々の悪意が、恐るべき殺戮劇を繰り広げる!
価格 本体700円+税
発売日 2020年2月6日
ページ数 336ページ
ISBN : 978-4-299-00221-1
宝島CHANNNEL(宝島社)ホームページより https://tkj.jp/book/?cd=TD002211&path=&s1=