街の雰囲気や、家族や友人たちとの記憶、あの時吹いていた心地よい風……。神戸という街で過ごした心象風景を、抽象的な音楽として表現するアーティストに、電子音楽家のHirotaka Shirotsubakiさんがいる。
Hirotaka Shirotsubakiさんは、神戸市生まれの30代。現在も神戸で仕事をする傍ら、ライフワークとして自身の音楽活動を続けている。2018年にはスペインのレーベル「ARCHIVES」からアルバムをリリースするなど、そのファンは海外にも広がる。
◆アンビエント・ミュージックの魅力
Shirotsubakiさんは、2011年ごろから作曲活動を始めた。
「学生時代はインストゥルメンタルの“ボーカルのいない”バンドやっていたんですけど、大学を卒業するとメンバーのスケジュールも合いづらくなって。ひとりでもできる音楽を模索していったときに、以前から興味のあったアンビエントをやろうと思ったことがきっかけです」
音楽にはさまざまなジャンルがあるが、Shirotsubakiさんの作る曲は、「環境音楽」や「アンビエント」などと呼ばれる。ロックやジャズに比べると聞き慣れないひとも多いかもしれないが、どのような背景があるのだろうか。
「諸説あると思いますが、はじめにエリック・サティが『家具の音楽』という、家具のように空間に配置された無意識的に聴くコンセプトの音楽を作曲して、その影響を受けたブライアン・イーノが『アンビエント』というジャンルを提唱、一般化させたようです。僕はそうした音楽に影響を受けながら創作しています」
そんなアンビエント・ミュージックの魅力をShirotsubakiさんはこう語る。
「ひとつはリラクゼーション効果があって、単純に音が気持ちいいなと。もうひとつは、アーティストの主観やメッセージ性が希薄なところです。僕自身が社会に対して何かを言うところに創作のポイントを置いていなかったので、そこがしっくりきました。音楽に限らず、アートにしても抽象絵画とか、主体性があまり感じられないものが好きなんです」
Twitter @ynemnynemn
https://twitter.com/ynemnynemn
Bandcamp
https://hshirptsubaki.bandcamp.com/music
アルバム「My Town」
「Itayado」