◆「音楽に癒されること」を肯定する
一方で、この期間は、音楽の持っているひとを癒す力を再発見する機会になるかもしれないとShirotsubakiさんはいう。
ノルウェーのテレビ局で、「薪が燃えているだけの映像」を放映したところ、20パーセントもの高視聴率を獲得したというのは有名な話だ。日本でも、昨年(2019年)から文化放送が、たき火の音だけを流し続ける「たき火特番」を放送して好評を博したり、さらにチャーハンを炒める音だけを流す「チャーハン特番」が企画されるなど、いわゆる「ASMR」への世間の関心も高まっている。
「こういう音楽をやっていると、『たき火』とか『チャーハン』って全然ありだよねと思うんです。でも、リラクゼーションを求めている自分を客観視したときに、多くの人は、自分が精神的に疲弊していて、ケアを必要としているという事実をなかなか受け入れられなかったり認めたくなかったりする。ただ、今はこういう状況なので、音楽に癒されるということをもっと正直かつポジティブに捉えていいんじゃないかと思っています」
最後に、今後の創作活動の展望をうかがった。
「今後はただ曲を作るだけじゃなくて、もっとひととの接点を持っていきたいなと思っているんです。そうして、自分がこの町に住む限りでどういう表現をしていくのか、そこから文化が生まれていくことに今は興味があります。だから、一日でも早く事態が終息することを願っています」
Hirotaka Shirotsubaki
神戸市在住。園芸を愛する電子音楽家。
海外レーベルからアルバムをリリースしているほか、多くの楽曲は、Band camp上で無料で聴くことができる。投げ銭システムで応援も可能。
※取材・文=麗日
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Bandcamp
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アルバム「My Town」
「Itayado」