最高検・幹部まで上り詰めたOBがささやく。
「定年延長問題、あれは安倍(首相)ならではなんだ。かねてからよく言われてただろ、『お友だち内閣』って。黒川氏は完全に巻き込まれたな。メディアは黒川氏を「政権に近い存在」だと表現するよね。実際はどれだけ近い存在なのか、安倍(首相)と黒川氏、当人同士しか知り得ない、いわば『秘密の暴露』とでも言おうか。現役時代の取り調べを思いだすね。でも政権の維持に使われてしまっては検察の名が廃る」
不偏不党の立場から時に政権の不正にも切り込んできた検察。歴代の検事総長が背負う「検察の独立性」。検察幹部の1人は定年延長によってその独立性が侵されかねないと危機感をあらわにする。
2010年、大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が発覚。検察改革が始まり10年になる。
男性検事は「山登り」、女性検事は「料理」。「趣味は?」と尋ねると、高い確率でこう返ってくる。
山登りはまさに1歩1歩(立証のために)上り詰める、料理は限られた食材(証拠や供述)で1つのものを作り上げる。仕事と重ねてしまうのだろう。
ドラマのような華やかさはない。むしろ地味な作業をコツコツ積み上げて一筋の光を見いだすだけのことだ。
別の幹部は「検察の理念って、そりゃあ検察がオタオタしたら国が揺らぐ、そういう重責を担っているだけ。またその誇りと自信を持つこと」と言い切った。決してきれいごとではない。
「秋霜烈日」。