防災士のシンガーソングライター 石田裕之さんが説く人とのつながりの大切さ

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 音楽で世界を救う。きれいごとではなく、実際に地道で具体的な活動をしながら、人の心を癒すミュージシャンがいる。

 話をうかがうのはシンガーソングライターの石田裕之さん。神戸大学法学部を卒業後、2003年からシンガーソングライターとして活動をはじめる。音楽活動のほかにも、防災士やひょうご防災リーダーの肩書も活かし、神戸学院大学で地域学の非常勤講師としても活躍するなど多彩な人物だ。そんな石田さんのこれまでの活動を振り返りつつ、今後の目標を聞いた。

シンガーソングライターの石田裕之さん
シンガーソングライターの石田裕之さん

◆ロックから弾き語り、そして防災活動へ

――石田さんが歌手を目指されたのはいつからですか。

ありがちですが、中学生の思春期の頃です。音楽にどっぷりのめり込んでしまいまして。その時の憧れが手放せないまま大人になって今も音楽をやっていると言う感じですね。

B’zとか、いわゆるJ-Rockの男性グループへの憧れが強くて、さらにそこからルーツを遡ってLed Zeppelinとかビートルズとかそういう洋楽のロックも聴くようになって。中学高校はロック少年でしたね。

――優しい歌を歌われているイメージがあるのでロックにはまっていたとは意外です!

いまはアコースティックですもんね。最初はバンドをやっていたんですけれども。バンド仲間はみんな就職していなくなってしまいまして。そこから1人で音楽を続けるには何ができるだろうと考えてギターの弾き語りを始めました。今のスタイルの始まりです。

――就職をせずに音楽の道に進んだんですよね?

はい、最初はものすごく不安でした。神戸大学にまで行ったのにもったいないと周りの皆さんには何度も言われてしまいました。親にも随分心配をかけたと思いますし、自分でも凄く不安でした。

それでもやっぱりプロになりたくて、何のツテもないままこの世界に飛び込みました。本当に何のツテもないので飛び込み営業からのスタートでした。ここで歌わせてください、とお願いするわけです。あるとき、ショッピングモールの方が「店で歌ってもいい」と言ってくれて。その初ライブがきっかけで、また別の人からも声をかけてもらって、今度はそれを聴いてくれたまた別の人が……という繰り返しで、少しずつファンの方が付いてきてくれました。皆さんにはいつも感謝しています。

――シンガーソングライターとしての活動をしていて、どんなところにやりがいを感じますか?

ライブの演奏やCDの音源を聴いてもらって、それに対して感動したよとか涙が出たなどと温かい感想を頂けるときが一番ですかね。

学校で公演したときの生徒さんから「石田さんの曲がまた聴きたくなりました」というメッセージをもらったりとか。そうやって覚えてくれてるんだと思うと自分自身も頑張ろうと思います。

◆「今度は自分が恩返しする」

――学校以外にも、被災地や避難所といった場所にも慰問演奏しているんですよね。防災に関心を持ったきっかけはなんだったのでしょうか? 教えてください。

もともと自分が神戸で震災を経験しているので、その記憶がずっと活動の根っこにはありましたね。

2011年に東日本大震災が発生して、そのときに今度は自分が恩返しする番だなと思ったんです。そこから毎月1回のペースで宮城県の石巻市へボランティアに行くようになったんですよ。実際に被災地に足を運ぶと、いろんな体験談を耳にします。けれど関西にはなかなかそれが伝わってきません。でも南海トラフなど、地震は決して人ごとではありませんよね。

じゃぁ「何とかしてもっと震災に関する情報を伝えなければ」と思ったのがきっかけ。それで、ひょうご防災リーダーの講座に通って勉強するようになったんです。

――ひょうご防災リーダーの講座では、具体的にどんなことを学びますか。

座学はもちろん、実習系の授業もあります。例えばAEDの使い方を実際に教わったり、放水訓練をさせてもらったり、地域の防災に関する取り組みをインタビューしたり。本当に幅広く経験をさせていただきました。すごく良い体験でした。

講座を修了すると、ひょうご防災リーダーという肩書が手に入り、さらに防災士の資格試験の受験も可能になります。

――音楽と防災を絡めた活動をされているんですよね。

はい!

2017年からボイスパーカッションのKAZZと一緒に防災音楽ユニットを結成しています。防災・減災に役立つ情報やメッセージをポップスの中に散りばめて届けています。たとえば「災害伝言ダイヤルの番号は171ですよ」とか、そういう情報です。「津波のときはとにかくまずは自分の命を守るために高台へ逃げなさい」とか。

◆有事の際にこそ人とのつながりを大事に

――なるほど。最近はどうですか。ライブができない状況ですが、どのような活動をされていますか。

ライブ配信がすごく楽しかったです!

防災・減災には人とのつながりが大切とよく言われます。身近な人たちと助け合うことが大事です。でも、今回のコロナでは感染防止のために普段から誰とでもソーシャルディスタンスをとらないといけないわけです。距離が遠くなっちゃいますよね。

そんな状況で、インターネットで全員の顔を見ながら一緒に参加できるイベントはとても大事だなと実感しました。はじめてのことでしたが、良いチャレンジだったと思います。

――そのほかには最近どんな活動をされていますか。

そうですね、『人前で歌う』という生きる喜びがない、つらい状況のまま、3か月が経ちました。でも、みんなが大変なときです。ミュージシャンだけが嘆いているわけにはいきません。悲観的になっても仕方ないので、今だからこそできることをしようと思います。

今までなかなかできなかった曲づくりをしたり、しっかり練習したり。今は自分を高める修行の期間と捉えていますね。

来月(6月)からは兵庫県内のライブハウスの営業自粛要請が解除されるという報道もありました。そのときに「ああ、石田は頑張ってたんだなぁ」と思ってもらえるように頑張ります。

――もうしばらくしたら石田さんの新しい楽曲とも出会えるかもしれないわけですね。

そうですね、新しい生活様式とともに、新しい石田裕之をお届けできればなと思います。

――それでは、最後に石田さんが大切にしている言葉を教えてください。

「目の前のことを丁寧に」

です。これは小学校の頃に習っていた剣道の道場の先生にいただいた言葉です。今やっていることを一生懸命頑張ろうという意味。やっぱり過去を振り返ったりとか、遠い未来を考えたりすると、不安になったり苦しくなったりすることもあるでしょう。

できる範囲のマイベストで良いから、少しずつ未来を切り開くことができれば!

シンガーソングライター 石田裕之さん
シンガーソングライター 石田裕之さん

※ラジオ関西『PUSH!』2020年5月27日放送回より


シンガーソングライター 石田裕之さん

公式サイト
http://www.insomnia.co.jp/

公式Twitter
https://twitter.com/SimpleLifeMusic

PUSH! | ラジオ関西 | 2020/05/27/水 16:30-17:35

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