本をパッと開いて屋根の格好にしたら本のページの部分の平らな部分と、90度反対側の三角の部分ができます。三角の部分を「妻」と言い、妻がストーンと落とされているものは、切妻造(きりつまづくり)といいます。それに対して、瓦が葺いてある平らな面は「平」という字を書いて「ひら」といい、平らな瓦が葺いてある面を正面にした建物を平入(ひらいり)といいます。姫路城も駅から見ると天守閣は平入だということがわかります。農家は平入。お寺の本堂なども平入。ちょうど正面に見えている春日神社の門は平入でしょう? こうして注意深く見て歩くことが大切です。
◆呉服町
ちょうど春日神社を出たところにある神姫バスのバス停は「二階町」。次のバス停は「呉服町」と表記されています。呉服屋さんがずっと並んでいるという町だったんですね。魚屋さんが並んでいれば「魚屋町」という町名が付きます。
◆個性ある古い街並み
お城の南を東から西へ篠山川が流れ、篠山川の北側の河原からちょっと入ったところに、河原町といわれる商人たちの町があります。1620年頃からできあがっていきました。今では、武家屋敷としてはお城の西の御徒町の武家屋敷群、町人達の町家としてはこの河原町にかなりたくさんの古い商家(河原町の妻入商家群)が残っています。兵庫県でも有数の古い町並みが残っている場所ですね。
◆春日神社
二階町の一角に春日神社があります。春日神社は篠山の町で最も大きなお宮さんです。丹波市側に行くと春日インターチェンジがありますが、丹波は奈良の春日大社と関係が深く、平安時代の始め頃に奈良の春日大社の御神霊が分けられ、篠山の今のお城がある丘へ祭られました。慶長14年に篠山城が作られたときに現在の場所に移されています。
奈良の春日大社では観阿弥世阿弥の関係で(猿楽などの芸能が奉納される)「春日若宮おんまつり」が現在も行われています。そのお能が篠山にも伝わってくるんです。神社の境内にある能舞台は国の重要文化財です。
『ラジオで辿る光秀ゆかりの兵庫丹波』2020年6⽉4⽇放送回音声