‟人を幸せにする宝塚ホテル” 元タカラジェンヌ・憧花ゆりのさんが支配人就任

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 宝塚ホテルが宝塚大劇場の⻄隣に移転し、リニューアルオープンした。同ホテルの支配人に就任したのが、元宝塚歌劇団月組の娘役として活躍し、組長も務めた憧花ゆりのさんだ。支配人に就任されるまでのいきさつや、これからの目標などをうかがう。

憧花ゆりのさん
憧花ゆりのさん

◆身近だった宝塚へ

 宝塚大劇場唯一のオフィシャルホテルである宝塚ホテル。館内は90年以上愛され続けてきた移転前のクラシカルデザインを継承し、宝塚歌劇の衣装や小物、写真などのギャラリーも常設されています。ここで日々、お客様を出迎えている憧花さん。

――いま、支配人としてどんなお気持ちですか?

開業時、そして現在は平日でも本当にたくさんのお客様にお越しいただき、うれしく思っています。一日一日、お客様に素敵な空間をお届けするために頑張っています。

――憧花さんは2000年に宝塚歌劇団に入団されました。幼い頃から宝塚への憧れなどがあったんですか?

母が宝塚歌劇を好きだったので、小さい時から一緒に連れられて舞台を見ていたんです。それが自分の生活の一部でもあったので、憧れというより身近なものでしたね。

――受験の時のことは覚えていますか?

私は2回目で合格したんですが、1回目は一応バレエや歌はやっていたものの、よく分からないまま受験して。そこで、初めて難しい世界なのだと理解しました。だから、2回目で合格した時はすごくうれしかったのを覚えています。

――ニュースなどで拝見していると、上下関係がとても厳しく、大変そうな印象を持っているのですが、学校生活はどんな感じでしたか?

上下関係の礼儀や、社会人としての基本的なことを指導するので、厳しい場所ではありましたね。でも、今となっては笑い話になっていることもたくさんありますし、同期と一緒に過ごした日々はすごく濃密だったなと思います。

◆悩み、もがき続けた宝塚時代

――初舞台の時の感覚はいかがでしたか?

初舞台はラインダンスでした。ショーの場面で、踊りの間に60回くらい足を上げるという結構ハードなもの(笑)。その練習を朝から晩までずっとしていたんです。だから、幕が開いた時には「やっと舞台に立てた」と思ったのを覚えています。

――お母様も舞台を見に来られたんですか?

はい、もう母はものすごく喜んでいました。

――そうですよね。舞台を続けていく中で、つらかったり悩んだりしたこともあったと思うんですけれど、印象的なエピソードはありますか?

思うように表現できない下級生時代は、「どんな舞台人でありたいか」という理想はあっても、そこにたどり着けない自分も自覚して、とにかく悩んでいましたね。ようやく「こんな感じかな」という感覚を持てた時に組長になりました。

組長になったらなったで、「どうしたら組がまとまるのか」「この下級生はどうやったら成長できるか」と、人のことを考える時間が増えてきて……なんだか、ずっと悩んで苦しかったように思いますね。

――悩み続けながらも2018年まで舞台に立ち続けたんですね。いちばん楽しかった、自信を持てた瞬間はありましたか?

「あ、これだな」と感じられる時はたくさんありました。何年も、何回も悩んだことがふと形になる、本当に瞬間でしかないんですけれど。そして、また次の日は悩むんですが(笑)。でも、そういう時にはものすごい達成感がありました。下級生を見ていて「あ、この子も達成した瞬間があったな」と気づくと、自分のことのようにうれしかったです。

――そのようなストレスフルな舞台と離れて、リフレッシュできる時間はあったんですか?

それが、私は息抜きがとても下手で(笑)。どうしても仕事や舞台のことを考えてしまうんです。それは今も同じで「息抜きってどうしたらいいんだろう……」と思うことも。自分の好きなことをするのが一番なんでしょうけれどね。

こう見えて、ぼーっとするのが好きなんです(笑)。カフェに行って本当にぼーっとしてみたり、時にはおしゃべりを楽しんだり。ささやかですが、自分が好きなことを見つけて、前よりは息抜きが上手になったかもしれません。

憧花ゆりのさん
インタビューに応じる憧花ゆりのさん

◆運命を感じて支配人の道に

――宝塚の娘役から、宝塚ホテルの支配人へ。とてもめずらしいキャリアチェンジだと思うのですが、経緯を教えてもらえますか?

お話をいただいたのは今年の2月です。新しいホテルが宝塚大劇場のすぐ側に開業すること、そしてオフィシャルホテルということもあって、宝塚歌劇に近しい人がホテルにいる必要があるのでは、という考えから声をかけていただきました。「人と人とをつなぐ」という意味でも、組長の経験が役に立つのでは、と。

退団して1年ほど過ぎた頃で、実は宝塚を離れて一社会人として何ができるのだろうと考えていたんです。けれど、心の中にはずっと宝塚がありました。「いつかは宝塚に帰って、役に立てる仕事をしたいな」と思い始めた時に支配人のお話を頂き、運命的なものを感じてお引き受けしました。

――今後のキャリアを迷っていた時期にお話があったのですね。

19年もいたので、もう頭が宝塚でいっぱいになってしまっていて。まったく別の世界で自分が認めてもらえるか、知りたいという気持ちもあったんです。

――宝塚と近いとはいえ、今、新しい道を歩き始めたのではないでしょうか。支配人になられて少し経ちましたが、ホテルを訪れるお客様の様子などを見てどんな風に感じていますか?

特別なホテルだなと思いますね。やはり宝塚歌劇のファンの方が多いですし、一方で宝塚市民、地域の方もたくさんいらっしゃって。それぞれのお客様の交流もあるようで、ちょっと普通とは違った雰囲気のあるホテルだなと感じます。

――これからの目標を教えてください。

19年間舞台に立ち続けた日々とホテルの支配人としての日々、まったく違うんですけれど、非現実的な空間を作るという意味では共通点もたくさんあるのではないかと思います。自分ができることを探して、今、目の前にいる方を幸せにする、良いホテルにしていきたいなと考えています。

――最後に、憧花さんの座右の銘を教えてもらえますか?

「汝の隣人を愛せよ」です。自分の隣りにいる人を愛することから始める、という意味と私は捉えています。自分の好きな人だけを受け入れるのではなく、まず目の前の人の良いところを見つけて、良い時間を作る、ということをいつも心がけていたいです。

 7月17日(金)、いよいよ宝塚大劇場の公演が再開される。観劇のあとは、新しくなった宝塚ホテルへ。舞台の余韻に浸りながら、ホテルコンセプトのとおり「夢のつづき」を過ごせる非日常の空間となっている。

※ラジオ関西『PUSH!』2020年7月8日放送回より

◇宝塚ホテル
住所:宝塚市栄町1丁目1番33号
電話:0797-87-1151
料金:26,620円~


宝塚ホテル ホームページ
https://www.hankyu-hotel.com/hotel/hh/takarazukahotel



PUSH! | ラジオ関西 | 2020/07/08/水 16:30-17:35

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