『安倍1強』の7年8か月(3)さまざまな法制…戦後政策の大転換だったのか 弁護士はどう見た? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

『安倍1強』の7年8か月(3)さまざまな法制…戦後政策の大転換だったのか 弁護士はどう見た?

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 できあがった法律は「ひとり歩き」してしまう。のちに政権トップあるいは政権母体が変わってしまうと、しょせん「道具」にすぎない法律は、時の権力者の思惑で、いかようにも使われてしまうのである。

兵庫県弁護士会・特定秘密保護法への抗議集会
兵庫県弁護士会「集団的自衛権行使容認」「特定秘密保護法」反対集会(2015年6月21日 神戸・三宮 東遊園地)

■「共謀罪」(テロ等準備罪)が「特定秘密保護法」とともにフル活用されると、国民への「監視」が広がるという危惧があった。しかし、いま、国民の危機感が薄らいでいるのではないか。

「共謀罪の創設を含む改正組織的犯罪処罰法(2017年6月成立)」は、あたかも「テロ対策」を目的とする法律であるかのように政府は説明する。しかし、共謀罪の対象とされる277もの犯罪には「テロ対策」とはまったく無縁のものが数多く含まれている。

 また「計画」「準備行為」「組織的犯罪集団」などの概念は不明確で、国会での政府答弁も二転三転した。私たち国民に対して、何が犯罪で何が犯罪でないのかの説明が不十分だった印象がある。

「共謀罪」の成立で犯罪の枠組みが爆発的に大きくなることで、監視される対象が広がり、今後は電話の傍受、メールやSNSの検閲、室内の会話の盗聴、GPSの活用など、捜査の手法もさらに多様化・拡大化することが懸念される。私たちはもはや「治安」と引き換えに、自分たちのプライバシーを差し出してしまうようになる危険性を認識すべきではないか。

 すでに私たちは「防犯カメラ(かつては監視カメラと言っていたが)」に慣らされてしまった感がある。防犯カメラやNシステム(自動車ナンバー自動読取装置)の映像をめぐり、警察をはじめ捜査機関はこれらを駆使して犯人の早期検挙に結び付けることができるだろう。もちろん、こうした手法での犯罪捜査は社会の治安を守るメリットもある。しかし一方で、共謀罪の捜査に必要だとして、犯罪捜査を目的として電話を盗聴できる通信傍受の範囲を拡げるような新たな立法がなされる危険性もあり、さらなる「監視社会」への変貌が懸念される。

藤本尚道弁護士
藤本尚道弁護士「拙速な採決の印象でしかない」と指摘

■成長戦略の目玉と位置付けた、カジノを含む統合型リゾート(IR)構想。「カジノ法(IR推進法・2016年12月成立)」の強行採決も記憶に新しい

 統合型リゾート(IR)と言えば聞こえが良いが、日本で「カジノ」を合法化して導入することで外国人観光客が増加、さらに雇用を創出することによる大きな経済効果を狙ってのことだが、他方で「ギャンブル依存症」「マネーロンダリング(資金洗浄)」「治安の悪化」などの問題が強く懸念される。特にわが国は「ギャンブル依存症」の人口割合が世界主要国でトップと言う不名誉なデータがあり、けっして依存症対策をおろそかにはできない。

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