たとえば真夏、全身から汗が噴き出す、うだるような暑さのなか、冷たい飲み物をすぐ手に入れられる自動販売機の存在は、なくてはならないものだ。息も絶え絶えのなか、ペットボトル1本で生き返る。しかし、ある日ふと気が付いた。ある自販機では「つめたい」、すこし歩くと「つめた~い」の表示の自販機が。表示が混在しているのは、いったいなぜ? 誰が決めているの?
■自販機メーカーごとに違う?
まず仮説として思いついたのは、自動販売機メーカーごとの違いではないかということ。取材を進めると、2020年現在、日本で自販機を作っているメーカーは富士電機とサンデン・リテールシステムの2社しかなく、シェアを半分ずつ分け合っているということがわかった。ということは、どちらか1社が【あったか~い/つめた~い】、もう1社が【あたたかい/つめたい】の表示を採用しているのではないか!
この仮説を立てたときはかなり高揚したが、サンデン・リテールシステムの担当者からは「飲料メーカーの希望で文字やフォントを決めています」との回答。富士電機の担当者も「飲料メーカーからの依頼に応じています」。予想は、早速覆された。
■決めるのは飲料メーカーだった
自販機の表示を【あたたかい/つめたい】にするか【あったか~い/つめた~い】にするかを決めているのは飲料メーカーだ。後者を採用しているダイドードリンコの担当者に聞くと、「特に何か理由があって……というわけではありませんが、より情感に訴える表現ということで使われてきたのだと思います」。同様にサントリーの担当者にうかがったが、「お客様がわかりやすいものを採用しています」とのこと。
■同じ飲料メーカーなのに、表示が混在していることも
しかし、あるとき、同じ飲料メーカーの自販機であっても表示が混在している例を発見した。前述のサンデンの担当者によると、「最近はほとんど【あったか~い/つめた~い】となっていて、“~”がないものは古いものだと思われます。以前は、1つの商品ごとにシールを貼ったりカードを差し込んだりしていたため、文字の大きさが小さくなってしまうことから、“~”をつけなかったようです」という。
つまり、自販機で温かさや冷たさをどう表示するかは、飲料メーカーが決め、自販機メーカーが文字やフォントの希望を受けて製造、それが街中に並んでいるということだった。日本を訪れる外国人観光客は増え続けており、10年後、20年後には全く違う表示になることもあるのだろうか……。
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