また「婚姻届・離婚届」については「緊急性」が存在する場合もあり得る。たとえば、重病で死に瀕している人が、これまで長く連れ添った相手と「入籍」したいと考えた場合。あるいはその逆の場合などもある。だからこそ役所も「婚姻届・離婚届」については24時間態勢で受け付けることになっている。
そのような事情を踏まえると、「婚姻届・離婚届」について「本人確認」を重視して「実印」の押捺を要求することも、いかがなものかと思う。
こう考えると「婚姻届・離婚届」にハンコをつかせることの意義が大きく後退してしまう。「婚姻届・離婚届」の偽造による届け出は、公正証書原本等不実記載・同行使の犯罪(五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金)だが、届け出にハンコが不要となったとしても、犯罪となる「不実の届け出」が増加するとは思えない。
いまの世の中、100円ショップで誰もがどんなハンコでも買えるわけで、何も状況が変わるわけではないのではなかろうか。
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次回(10月23日)は神戸で創業100有余年、老舗ハンコ店・店主はこの事態とどう向き合うかを聞く。