神戸市で2019年4月、特定抗争指定暴力団・神戸山口組系組長が襲撃され、殺人未遂などの罪で対立する六代目山口組系組員2人が起訴された抗争事件で、裁判員裁判にするとした神戸地裁の決定を覆し、対象から除外する大阪高裁の決定が確定したことが13日までにわかった。
また尼崎市で2019年11月に神戸山口組幹部が射殺された殺人事件でも、大阪高裁は裁判員裁判の対象除外を認めた神戸地裁決定を不服とする弁護側の即時抗告を棄却した。
11月3日、尼崎市の路上で神戸山口組系組長ら2人が銃撃される事件が発生し、六代目山口組系組員2人が殺人未遂容疑で逮捕された。特定抗争指定暴力団に指定されている「2つの山口組」の対立が続き、大阪高裁は裁判員に危害が及ぶ危険性があると判断したとみられる。
神戸地検は2019年に神戸市、尼崎市で起きた一連の抗争事件4件について「事件に組織性があり、関係者が裁判員に報復行為に及ぶ危険性がある」として、神戸地裁に裁判員裁判からの除外を請求していた。
このうち2019年4月の殺人未遂事件では、地裁が2020年9月、いったん地検の請求を退けた。地検はこれを不服として即時抗告し、高裁が10月、「抗争状態は激化している。わが国最大の暴力団組織と、そこから分裂した組織で構成員らは極めて多数で、裁判員の危険を拭い去ることはできない」として除外を認めた。