長谷川さんは「コロナ禍の時代だからこそ、皆さんの思いや夢を大きな気球に乗せて、未来へ運ぶことができたら。高さ15メートルの空間に作る気球は、リアルなものとファンタジーなものを融合させた」と今年の作品のモチーフを語った。自身も旅が大好きな長谷川さんは、その魅力を「非日常に身を投じて客観的に自分を見つめることができる」と話し、印象的な旅の1つに「最近ではパリのクリスマス。シャンゼリゼ通りのイルミネーションが真っ赤で燃え上がる輝き、そのパワーや迫力を感じた。そして旅の目的の1つはホテル。自由に海外へ行けるようになればフィンランドのガラス張りのホテルでオーロラが見たい」と思いをはせた。
◇「すべてのはじまりの国、エチオピアで女性を撮りたい」写真家・在本彌生さん
また在本さんは、「Winter Voyage Tree」について「ツリーの裾が拡がるイメージと、空に高く飛び立つ気球はよくマッチしている。気球がふくよかな感じで、ゆったりと大きい。希望を持って前進できるような…」とうっとり。そして「写真を撮るようになって思い出深いのは、エストニア(北欧・バルト三国の1つ)。家庭で庭のツリーを切って、飾りつけをして食卓を囲むクリスマスに温かさを感じた」と振り返り、次の旅先について「エチオピアの美女を撮りたい。世界でも一番歴史がある国とも言われて、アフリカ・アジア・ヨーロッパ、すべての始まりのようなイメージがある。エチオピアの女性は本当に美しい。名産のコーヒーを彼女たちが入れてくれたら、と思うとそれはそれは天国のよう。そうした人々の営みをシャッターに収めたい」と夢を語った。
仕事帰りに立ち寄った宝塚市の20代の女性は「毎年楽しみにしています。大きな気球はインパクトがあって、色使いもホワイト・ブルー・ピンクなどシンプルながら幻想的。今年はコロナの影響で、春先からどこにもお出かけできませんでした。去年はいろんなイルミネーションを見に行ってたんですが、今年はおうちで静かなクリスマスになりそうです。自由に旅ができるようになったら、ローマに行きたい。マドリッドにも行きたい。コロナが収束する日を待っています」と話した。
2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、グランフロント大阪も緊急事態宣言発令中の商業エリア休館はもちろん、シーズンを通してさまざまなイベントが中止された。しかし「せめてクリスマスには、訪れる方々に希望を」との思いから『Grand Wish Christmas』の開催を決めた。空間が密にならないよう配慮し、十分に感染対策を施している。とかく表情が暗くなりがちだった私たち。優しい光に照らされ、来たるべき新たな年に夢を託し、つかの間の“fantasy trip”を……。
このほかJR大阪駅北側に面した「うめきた広場」周辺のけやき並木、歩道の樹木126本には約40万球のシャンパンゴールドのLEDライトを装飾。クリスマスシーズンならではの幻想的な空間を演出する。街を訪れるすべての人々へのおもてなし、今年のクリスマスも。