有馬温泉観光協会・会長で有馬最古の宿「陶泉 御所坊」第15代主人、金井啓修(ひろのぶ)さんはラジオ関西の取材に対し「たばこを吸われる方が『気持ちを少し譲って』紙巻きたばこから加熱式たばこに持ち替えていただく。このような取り組みがあっていいと思うんです。公衆トイレも同じで、喫煙所を作るのは簡単のようで難しい。一般的にはその近くにお住まい、あるいはお店を出されている方が敬遠されることが多いです。それだけに調整が大変でした」
「災害は25年周期、とよく言われます。戦後の有馬温泉は1968年の老舗旅館の大火災、1995年の阪神・淡路大震災、そして2020年は新型コロナウイルス。私たちにはこうして約25年・四半世紀ごとに試練があり、その都度乗り越えてきました。加熱式たばこ専用エリア、吸い殻のポイ捨てなど喫煙をめぐる問題の解決策を積み重ねるなか、2020年、今後の温泉地のあり方として新たな歴史が加わりました」と話す。
国の観光支援事業「Go Toトラベル」を利用してこの秋、首都圏や九州から温泉と紅葉を楽しもうと有馬を訪れた観光客も少し増えた。近ごろは地元・関西から気軽に「奥座敷」へふらっと、という20代~30代の女性が足湯でリラックスする風景も多くみられる。
2020年4月1日に改正健康増進法が全面施行された。飲食店などでは専用の喫煙室における「喫煙のみ」が許され、飲食を行いながらの喫煙も禁止された。一方、加熱式たばこに関しては紙巻たばこと扱いが異なり、専用のエリアにおける「飲食」をともなった使用が可能となる。こうしたなか、フィリップモリスジャパンは世界遺産・白川郷合掌造り集落(岐阜県)やZOZOマリンスタジアム(千葉県)にも同様の専用エリアを設置している。
■「有馬温泉は1つの財産。将来に残せるような環境を」~フィリップモリスジャパン・井上副社長
井上哲副社長は奈良出身。「こうした取り組みが1つのマイルストーン(経過点)、ステップとなって、より広く、社会から理解されて広がっていくことを願っています。関西出身の私にとって有馬温泉は幼いころから親しみがあり、歴史や温泉街の醸し出す雰囲気なども含めて、1つの財産。いまはコロナ禍で観光地へ思うように往来できないが、こうした事態が収束すれば国内外から多くの方々が訪れるだろうし、なかには愛煙家もいらっしゃる。そこで加熱式たばこの持つメリットが、課題の解決に貢献できるか、有馬温泉という財産を、将来の世代にもつなぐことができるようなステップにして、今後、(たばこを)吸う人も吸わない人も快適な社会づくりに貢献します」と意気込む。