新型コロナウイルス対応の「改正特別措置法」に基づく緊急事態宣言が、3月22日に全面解除された。関西圏・首都圏では新規感染者数が既に増加傾向を示しており、再拡大を警戒する各自治体は引き続き感染対策を徹底。一部自治体では、飲食店の通常営業を認めるなど緩和の動きも出てきた。新年度に向け人出増が見込まれ、変異株ウイルスの広がりも懸念される中、リバウンド阻止へ待ったなしの状況だ。
兵庫県・大阪府は、神戸市や阪神間、大阪市の飲食店に出している午後9時までの営業時間短縮要請の期限を3月末まで延長した。一方、京都府は状況が落ち着いているとして、京都市の飲食店に対する時短要請を期限の21日で終了している。
首都圏1都3県は宣言解除を受け、午後8時までだった飲食店への営業時間短縮要請を午後9時までに緩和。一方で、東京都から改正特措法に基づく時短営業命令を受けた飲食チェーン「グローバルダイニング」は3月22日、命令は憲法違反だとして都に損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。損害賠償の請求額は、命令を受けた、26店舗×4日間×1円の104円。代理人弁護士によると、損害賠償の請求が目的ではないとして、「コロナ禍で露呈された法の支配、民主主義の脆弱(ぜいじゃく)さを問う訴訟にするという。東京都は3月18日に「午後8時以降に営しているうえ、WEB上で発信していることが、客の来店を促し市中感染のリスクを高めている」として時短命令を発出していた。
新型コロナウイルス感染拡大にともなう改正特措法のあり方、時短要請ではなく「時短命令」は法的にどう評価されるのか、藤本尚道弁護士(兵庫県弁護士会)に聞いた。
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今回、グローバルダイニングが賠償請求したのは、営業時短命令が「営業の自由や法の下の平等を保障した憲法に違反する」との理由です。
東京都の時短要請に応じなかった約2千店のうち、時短命令を受けたのはわずか27店。そのうち26店がグローバルダイニング系列の飲食店だった。その点だけからみると、どこか不公平というか恣意的な時短命令の運用がなされている感が否めません。これだけでも、憲法14条違反の疑いが生じます。
そもそも飲食店に対する時短要請が、新型コロナウイルスの感染防止策として有効な唯一の手段なのでしょうか。