音声メディアのラジオは、当然“無音”になっては成り立たないもの。そして、実際に無音ではいけないのですが、その理由とは……。
放送局は「放送法」という放送に関する法律に基づいて放送業務を行っていますが、そのなかに「放送対象地域において放送があまねく受信できるように努めるものとする」という内容があります。
公共の電波を預かっているので、「ラジオを聴くリスナーが普段と違う無音のラジオを聞いて不安を覚えるような放送をしてはいけない」ということで、ラジオは無音になってはいけないとのこと。
たとえば神戸のラジオ局、ラジオ関西には、20秒間の無音になるとバックアップ音源が自動的に流れるシステムがあります。だからと言って、20秒までなら無音になってもいい、ということではないようです。
また、規定を超えた無音になると「放送事故」扱いになります。許容される無音の範囲は放送局によって、5秒、13秒、20秒といろいろですが、放送事故になった場合は、事故発生の報告を総務省に届け出る義務があります。
ちなみに山口百恵「プレイバックPart2」など、曲の中に少し間があったり、無音がある曲を放送するときには、プロのミキサーやサウンドエンジニアでも、ちょっとドキッとしてしまうそうです……。
またビートルズの「A Day in the Life」という曲はアルバムでかけると、最後に長い無音があり、そのあとにまた歌が入るので、ほとんどのディレクターは放送時に、早めにフェードアウトしてしまうことが多いようです。ジョン・レノンの「LOVE」は長いフェードインで始まり、これも放送時には無音検知されないように気を付けなければならないといいます。
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※ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』2021年4月11日放送回音声