神戸市の久元喜造市長は15日の会見で、兵庫県が独自で新型コロナウイルスの感染対策として呼びかけた「うちわ会食」をめぐり、予定していた飲食店への32万本のうちわ配布を見合わせたことについて「大変ありがたい」と述べた。
神戸市は13日、▼科学的根拠がない▼飛沫の飛散を防ぐ効果があるかどうか疑わしいなどとして、市内では、うちわの配布を行わないよう県に申し入れていた。
久元市長は申し入れをした4月13日のタイミングについて、神戸市内で過去最多となる193人のコロナ感染者が確認されたことが背景にあったと打ち明けた。そして「うちわで口を覆って飛沫を防止するやり方もありますよ、というひとつの対応は理解できるが、それを飲食店に配布することでうちわが行き渡り、果たして感染予防につながるのか、市の健康局をはじめほとんどの幹部職員が懐疑的だった」と話した。
また神戸市の花田裕之・健康局長は「『うちわを持っていれば安全』という誤解を招きかねない。かえって感染の危険性を高める可能性があった」と話した。そして「感染防止策の重点は会話する相手との適正な距離だ」と指摘した。
「うちわ会食」をめぐっては、兵庫県の井戸敏三知事が9日の会見で「フェースシールドがOKならば、飛沫感染防止でうちわや扇子もOKのはずだ」との見解を述べていた。