ヒマラヤ山脈の標高4800メートルにあるブータンの秘境、ルナナ村を舞台に、都会から来た若い先生と村の人たちや子どもたちとの心の交流を描いた感動作、映画『ブータン 山の教室』が、全国公開中です(※大阪・神戸地区での上映は映画公式サイトを参照)。第93回アカデミー賞国際長編映画賞ブータン代表作品にも選ばれた今作を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。
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「この国に生まれて幸福なのか?」と思うときがある。コロナ対策やオリンピック開催に右往左往している今の我が国を見ると、果たしてこの国の国民であることが幸せなのかと……。
幸福度の高い国といわれる、ブータン。GNP(国民総生産)ではなく、GNH(国民総幸福)が高く、世界で最も幸せな国と評されている。でも果たして、ブータンの人々はみんな本当に幸せなのか?
1999年にテレビとインターネットが解禁されて以来、多くのブータンの人々がそれぞれの幸せを求め、華やかで近代的な都市に憧れ、外国に移住する人も増えてきているらしい。
この映画の主人公の教師のウゲン(シェラップ・ドルジ)もそんな一人。歌がうまい彼は、オーストラリアに行き、ミュージシャンになりたいという夢をもって、着々と準備中。
そんなある日、上司に呼び出され、辺境の村への赴任命令が告げられる。標高4800メートルの、ブータン北部の村「ルナナ」。人口わずか56人が暮らすこの村には、電気も携帯電話もない。バスに乗り、途中からは歩いてたどり着くには1週間以上かかるヒマラヤ山脈の氷河沿いにある集落だ。
“ルナナ”とは、『闇の谷』、『暗黒の谷』を意味しているそうで、つまりは、あまりに遠くて、光さえ届かない場所ということのようなのだ。
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