視覚障がいを持つ濱田さんは、聴覚障がいを持つ友人と、お互いの状況について語り合うこともあるという。「僕も補聴器を付けている知り合いと、『どっちが大変か』と言い合うことがありますが、絶対、『見えない方が嫌や!』、『聞こえない方が嫌や!』と、お互い相手の状態の方が大変やって、罵り合いみたいになることがあります……(苦笑)」。それでも、楠さんは「そうやってお互いが話し合うことで理解が進みますよね」と、相手を思いやる濱田さんたちの姿勢をおもんばかった。
◆耳が聞こえない人とのコミュニケーションは、手話だけではない
「耳が聞こえる人と同時に情報が得られない」「声で会話をすることが難しいので周りの人とコミュニケーションがとりにくい」、この2点が、聞こえないことでの大きな困難となってくるという、楠さん。では、耳が聞こえない方とコミュニケーションをとる場合、一番いい方法は手話かという質問に対しては、「手話だけでない」と話す。耳が聞こえない人みんなが手話を使っているわけではなく、その人に合わせたコミュニケーションが必要だという。補聴器や人工内耳をつけて会話する人もいれば、音がほとんど聞こえなくても補聴器を着けていない人もいるようだ。
その話を聞いた濱田さんからも、「視覚障がい者も全員が白杖を持っているわけではなく、その人の状況に合わせて持つ人や持っていない人がいる」という話があった。
また、濱田さんは「では、耳の聞こえない人からすると、(東京都知事の)小池さんの会見ってパネルがあって見てわかるから、すごい助かってるんですね。なんでそれを見えない僕が知ってるんや(笑)」と、持ち前のブラックジョークで周囲の笑いを誘った。
楠さんも、「音声で伝える際は、テロップのように同時に文字で出したり、字幕をもっと活用してほしい」と話す。
最近では、災害時にスマートフォンにお知らせが来るなど、スマホの果たす役割も大きい。「スマートフォンで聴覚障がいの方の生活は大きく変わりました。映像での通話機能を使うと、離れていても手話でお互いに話ができるようになり、便利にはなりました」と楠さんは実感する。
◆「“近くに耳が聞こえない人がいる”と意識していただければ」
昨今、新型コロナウイルスの感染が広がっているなか、「みんながマスクをしていて、口元や表情が見えにくくなっています。聴覚障がいの人は、見て情報を得ているので、見えないことが一番困ります」と、本音も吐露した楠さん。最後、聴覚に障がいがある方が社会に安心して参加できるために私たちにできることはという質問には次のように答え、理解を求めた。
『濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信』2021年4月20日放送回