奈良県の伝統野菜の1つ、「大和丸なす」。コロンと丸くてみずみずしく、肉質がきめ細やかで、「柔らかいのに煮崩れしにくい」のが特徴。奈良県大和郡山市の特産品の1つでもある。
その大和野菜の宣伝と知名度向上のため、「大和丸なす」の魅力を全国に広く発信する役割を担うのが、神戸をベースに活動する5人組アカペラグループ「チキンガーリックステーキ」。2019年7月に「大和郡山市大和丸なす大使」に任命された。このほど、メンバーの1人、前澤弘明さんが、大和郡山市上三橋町のJAならけん丸三出荷組合・中西農園を訪問。今が旬の「大和丸なす」を取材するなど、その魅力にせまった。
中西農園の代表、中西昭仁さんによると、ビニールハウスには送風ファンが取り付けられ、室内の温度管理を徹底。栽培方法がとても難しく、病気に弱いという「大和丸なす」は、継ぎ木作業を一株一株丁寧に行う。花が咲いたら『トーン受粉』(1回のみ)という人口交配の特殊な方法や、『芽かき』と呼ばれる不要な芽枝を取り除くことで、より良い実が収穫できるとのこと。そういった技法などを用い、気の遠くなるような手作業を行って、初めてこの「大和丸なす」ができるのだという。前述の「芽かき」によって残された枝は3本のみ。その分、普通の長なすに比べて収穫量もはるかに少ない。栽培方法の手間と技術の高さにより、平和地区で「大和丸なす」農家は7軒だけになっているとのこと。
食感・甘味・風味を備えた「大和丸なす」は、和・洋・中、どんなジャンルの料理にもあう高級食材。取材当日、地元の居酒屋「食呑 くろしお」の江梨子さんは、現地で「なす田楽」「マーボーなす」「なすのおひたし」「なすとベーコンアスパラのバター炒め」「なすと牛すじのどて煮」の、「大和丸なす」料理5品を仕上げた。「みそやマーボーなどの強い味付けにも決して負けないのに、おひたしのような薄口しょうゆと、お出汁の繊細な味付けにも素材の良さが伝わる」と、前澤さんら取材に同席した一行は、そのおいしさに舌を巻いた。
前澤さんの取材には、チキンガーリックステーキを「大和郡山市大和丸なす大使」に任命した大和郡山市の上田清市長も同席。「金魚とお城(豊臣秀吉の弟・秀長の居城)で有名な大和郡山市だが、農家の方々の生真面目さ、ひたむきさで、この大和伝統野菜が支えられている」と、「大和丸なす」農家に謝意を述べた。
今回、農家を取材した前澤さんは「奈良県は大学時代に過ごした第二の故郷。知っているつもりでもまだまだ全然知らないことがたくさんある。自然や文化、歴史の宝庫。『大和丸なす』のような食材もどんどん広めていき、ファンづくりに励みたい。チキンガーリックステーキの作詞・作曲・編曲・歌唱の応援ソング『大和丸なすのうた』は毎日大和郡山市庁舎でお昼に庁内放送でかけてもらっているそうで、将来、市内のスーパーの野菜売り場でかけてもらいたい」と笑顔で語った。