83歳、アンソニー・ホプキンスが鬼気迫る名演 映画『ファーザー』 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

83歳、アンソニー・ホプキンスが鬼気迫る名演 映画『ファーザー』

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 アカデミー賞の主演男優賞、脚色賞の2部門を受賞、オリヴィア・コールマンとアンソニー・ホプキンスが主演する映画『ファーザー』が全国公開中です。今作を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。

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 超高齢化時代を迎え、切実な問題となってきているのが、親の介護。私自身も、99歳6か月で母を見送るまでに、10年近くの介護生活を経験し、最後の1年半ほどは認知症を発症したこともあり、まさに大変な思いをしたので、この映画の娘アンの気持ちは痛いほどよく分かる。

 アンの父のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は81歳。ロンドンでひとりで暮らしている。元気だけど、最近よく腕時計が行方不明になる。面倒をみてくれている介護人のことが気に入らず、彼女が時計を盗ったのではないかとトラブルになり、頼みの綱の介護人から今回もまた、暴言をはかれたので辞めさせていただきますとアン(オリヴィア・コールマン)の元に連絡が入った。

© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020

 親のために、そばにいてもっと世話をするべきか、自分の幸せを考えて、パートナーとともにパリで暮らすのがいいのか、アンはつらい決断を迫られ、苦悩する。

 アンソニーがキッチンで紅茶を入れていると、リビングルームに見知らぬ男(マーク・ケイティス)が座っている。アンと結婚して10年、ここは自分とアンの家だという。そこへ帰って来たアンだという女性は、まるで見知らぬ女(オリヴィア・ウィリアムズ)で、離婚して5年も経つし、夫などいないと言い、男の姿も消えている。

 アンは新しい介護人ローラ(イモージェン・プーツ)を父に紹介し、珍しく彼女を気に入ったアンソニーは、自分は元ダンサーだったといい、ステップを踏んでみせるなど、ご機嫌だった。でも次の瞬間、アンと夫が結託して自分のフラット(家)を乗っ取ろうとしているのだと怒り狂う。

© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020

 別の日、アンソニーがキッチンに行くと、また、別の見知らぬ男(ルーファス・シーウェル)がくつろいでいる。彼からアンの話をしようと言われ、アンよりも妹のルーシーに世話をしてほしいと思っているのに、ルーシーになぜか会えないんだと話すアンソニー。


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