《かんさい・夏の和菓子『冷菓涼爛(ひゃっかりょうらん)』》いまレトロ、むかしハイカラ「レースかん」、レモンが織りなす京の涼風~大極殿本舗 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《かんさい・夏の和菓子『冷菓涼爛(ひゃっかりょうらん)』》いまレトロ、むかしハイカラ「レースかん」、レモンが織りなす京の涼風~大極殿本舗

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女将・芝田泰代さん「京都はいつも"行きつ、戻りつ"」の気持ちで
女将・芝田泰代さん「京都はいつも"行きつ、戻りつ"」の気持ちで

 たとえば喫茶メニューの「琥珀流し」。絶妙な寒天の柔らかさに季節によってバリエーションをつけた蜜がかかる(7月はペパーミントと赤紫蘇)。

「琥珀流し」4月は『桜』 ガラスの器の底に小豆を敷いて(大極殿本舗 Instagram)
「琥珀流し」4月は『桜』 ガラスの器の底に小豆を敷いて(大極殿本舗 Instagram)

 「これも今、食感の良さで密かなブームになっている”ふわとろ”の先駆けやと思てます。トロっとしている、とろける、柔らかいものが皆さんお好きですね」

琥珀流し 7月『赤紫蘇(しそ)』 ソーダ水を添えて 京都・大原の赤紫蘇は香り高く、色鮮やか<高倉通四条上ル・大極殿本店 併設の甘味処「栖園」>
琥珀流し 7月『赤紫蘇(しそ)』 ソーダ水を添えて 京都・大原の赤紫蘇は香り高く、色鮮やか<高倉通四条上ル・大極殿本店 併設の甘味処「栖園」>
六角店にも甘味処「栖園」を併設 7月の琥珀流しは『ペパーミント』わらび餅やぜんざいもある
六角店にも甘味処「栖園」を併設 7月の琥珀流しは『ペパーミント』わらび餅やぜんざいもある

 泰代さんは「すでにあるものを大事にしつつ、ないものを新たに受け入れるのが京都なんです。こうやって1200年もの間、歴史を刻んだんだと思います。京都で何百年も続いているのは、むしろ基礎を大事にしながら、新たに良いものを取り入れているだけやと思ってます。そのほうが楽なんです。それで失敗したら、あかんかったらもとに戻る。特別な工夫を無理やり絞り出すんじゃなくて、『行きつ・戻りつ』少しづつ歩む。これが大切です」との信条に行きついた。そのうえで「レースかん」は単にインスピレーション、「レース編みとレモン」の掛け合わせは、悩みに悩んで特別なことを考えたわけではなく、目についたものどうしの結びつきに過ぎなかったのだという。

寒天に浮かぶ輪切りのレモン「レースかん」(大極殿本舗 Instagram)
寒天に浮かぶ輪切りのレモン「レースかん」(大極殿本舗 Instagram)

■和菓子が表現する「季節感」

 和菓子は季節感が命。「あんまり暑うなると、かき氷やアイスクリームに目と舌に移りますから、味覚の趣向も変わりますけど、『レースかん』はよう売れます。ただ夏にはカステラは売れません。見た目と食感、秋から冬はあんこなど味が濃くてお茶に合うもの、例えば栗羊羹やつぶあんの羊羹が好まれますから、逆に『レースかん』は売れません。これが季節感。夏は夏、冬は冬です。うちらは季節で商いやってます。1年はこの繰り返しなんですよ」

季節に応じたものを楽しめるのが和菓子の魅力<六角通高倉東入ル・大極殿六角店>
季節に応じたものを楽しめるのが和菓子の魅力<六角通高倉東入ル・大極殿六角店>
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