【野上】担当に付いた最初の2~3か月は、緊張感はありますね。そういう人たちがラジオをやってくれていることに感謝しつつ、「今日楽しかったな」って帰ってもらうことだけを考えている感じです。
第一線で活躍している方の言葉を毎週目の前で聴けるって、ありがたい仕事ですよね。(パーソナリティーによって)番組がすごく面白くなったときとか、心動かされる話を聞いたときは、「やっぱりスターだな」って思います。担当している全パーソナリティーに対して、「この人すごいな」って思う瞬間がありますね。
◆「いつかラジオ番組発で爆発的なヒットコンテンツを」
――ラジオ番組発のリアルイベントが増えるなど、ここ数年でラジオ業界が大きく変化しているように思います。今後、ラジオ業界はどうなっていくと思いますか?
【野上】ラジオを聴く人の数はradikoの普及やコロナ禍もあって増えていると思うんですけど、“リアルタイムで聴ける生放送”自体が発展することはないのかなと思っています。ただ、「stand.fm」や「GERA」などスマホで聴けるアプリが出てきていますし、“音声”業界としては今後も加速していくのかなと思っていて。その上で、放送局としては生でやっていること以外で差別化していくことが必要なのかなと思っています。
ニッポン放送としては、イベントはもちろん、ファンクラブを作って限定コンテンツを配信している番組も出てきています。包括して言うと、“音声”業界としてはまだまだチャンスがある。だけどマネタイズという面も含め、ラジオ局としては、生き残りをかけていろいろ考えなきゃいけないときなのかな、とも思います。
――今は、業界として過渡期なんですね。
【野上】ラジオ発で世間を盛り上げるほど話題になるものって、そんなに多くないと思うんですよね。ラジオっていう狭いコミュニティーの中ではわーっと(話題に)なるけど、日本全国を巻き込んで熱狂させるコンテンツはなかなか作れていない。それこそ『鬼滅の刃』とか『エヴァンゲリオン』のように、数百万人を動かすことは実現しにくいメディアなんだと思います。だからこそ、なにかひとつでも、自分が爆発的なヒットコンテンツに関われたら良いなとは思いますね。難しい挑戦だとは思うんですけど。
――人を熱狂させるような流行を、ラジオ発で作りたい、と。