延暦寺では新型コロナウイルス感染防止のため、予定した来賓らの招待は見送り、法要の模様は動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」でもライブ配信された。
延暦寺・水尾寂芳(みずお・じゃくほう)執行は、伝教大師・最澄 (767~822年) が詠んだ「おのずから 住めば持戒のこの山は 誠なるかな 依心(えしん)より依所(えしょ)」という歌を引き合いに出し、「修行には自分自身が正しくあろうとすることが大切であるが、それよりも修行をする環境がもっとも重要であることが、修行を通じてはじめてわかる。この比叡山はまさにその修行にふさわしいところで、住んでいるだけでおのずから戒律を守ることができると話す。山そのものが、訪れる人々に力を与える。伝教大師のみならず、この山で修業し、「籠山(ろうざん=山に籠る)」という形で示された。そして鎌倉時代の各宗派の祖師方(法然、親鸞、日蓮など)も比叡山で修業を続けた。日本人の心の中にも”比叡山”がある。神秘な力、特別な場所。コロナ禍の今、疫病を鎮めるべく粛々と山上で祈りを捧げ、その模様を映像を通じて触れていただけたら」と話す。
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5月、 高野山真言宗総本山・金剛峯寺(和歌山県高野町)でも、 新型コロナウイルス感染症で亡くなった人々の追悼と早期終息を祈願する法会が壇上伽藍(がらん)で営まれた。
山内の塔頭(たっちゅう)寺院の住職や金剛峯寺の僧侶ら計約30人が祈りをささげ、金堂では、金剛峯寺・第414世座主、葛西光義 (かっさい こうぎ)・高野山真言宗管長(88)が導師を務めた。この様子も金剛峯寺のFacebookで映像配信された。
金剛峯寺では、最初の緊急事態宣言が出された昨年(2020年)、4月21日から拝観を停止していた。境内の一部は散策できたが、壇上伽藍(金堂や根本大塔など)に立ち入ることができない日が続き、約7万人が訪れるとされる5月の大型連休、実質的な観光客はその1割程度だったという。今年は感染対策に気を遣いながら兵庫、大阪、そして地元・和歌山から訪れる家族連れが少し増えた。