黒澤明の代表作にインスパイア リドリー・スコット新作『最後の決闘裁判』

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 中世のフランス。騎士の妻が夫の友人に乱暴されたと訴えますが、彼は無実を主張し、目撃者がいません。当時実際に行われていた、決闘で真実をはっきりさせる“決闘裁判”を描く歴史実話ミステリー。リドリー・スコット監督、マット・デイモン、アダム・ドライバー、ベン・アフレックが共演する『最後の決闘裁判』が10月15日(金)、全国公開されます。

 決闘裁判は、当事者同士で解決できない争いを、命がけの決闘でどちらが真実を言っているか決める究極の裁判です。中世ヨーロッパでは正式な裁判として法的に認められていました。真実を知っているのは神だけであり、神が“正しい者”を勝利へと導くと考えられていて、どちらかが死ぬか動けなくなるまで戦います。勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者はたとえ決闘で命拾いしても罪人として死罪です。

サブ①

 舞台は14世紀のフランス。騎士・カルージュ(マット・デイモン)は、権力と地位を得るため城を留守にして戦う日々を送っています。

 カルージュの妻・マルグリット(ジョディ・カマー)は、夫の友人で宮廷の家臣であるル・グリ(アダム・ドライバー)にレイプされたと訴えます。

「ル・グリが家に押し入り、私に乱暴を……」

 しかし、ル・グリは無実を主張し、目撃者はいません。

「すべて偽りだ」

「すべて真実です」

 真実の行方は、カルージュとル・グリが生死を懸けて戦う“決闘裁判”に委ねられます。

「負ければお前の妻も死罪だぞ」

「偽りとわかれば火あぶりの刑だ、生きたままで」

 もしも夫が負ければ、マルグリットまで偽証の罪で火あぶりの刑を受けることになります。裁かれるのは誰なのでしょうか……。

サブ②

 作品の題材は当時、現実に行われたフランス最後の決闘裁判です。誰が事実を語ったのか歴史家の間で議論が分かれ、真相は今も明らかになっていません。

 この時代は、市民の生活の隅々にまで騎士道精神や権力構造が浸透していました。国王は当時ティーンエイジャーで、教会の指導者や王宮の貴族ら有力者に逆らうことは命がけでした。女性は法的に地位を与えられず、夫の社会的立場にすがるしかありませんでした。

 この映画は新しい方法で真実を明らかにしようと、三部構成になっています。同じエピソードを登場人物の視点で角度を変え、3回繰り返して描きます。

 第一幕は、被害者の夫・カルージュの視点。第二幕は訴えられた被告人ル・グリの視点。第三幕が事件を告発した被害者・マルグリットの視点です。

メイン

 リドリー・スコット監督は今作の脚本について、黒澤明監督が同じ事件を登場人物ごとの視点で描いた『羅生門』を挙げ、「私がこの作品にひきつけられたのは、まさにこのポイントだったんだ」と語っています。

 マルグリット役のジョディ・カマーは作中で同じ場面を描く第一幕・二幕・三幕で、それぞれ絶妙な表現スタイルで見事に演じ分けています。

 脚本は、夫役のマット・デイモンと伯爵役のベン・アフレック、それに女性脚本家ニコール・ホロフセナーが議論を重ねながら完成させました。

 被害者・マルグリットの立場から事件をとらえ直し、自分に起きた悲劇を証明するために毅然と立ち上がった勇気をメインとして描きます。

 マルグリットの行動は女性ひとりの告発から広がった「Me Too」運動など現代社会に通じていて、観客へ問題意識を投げかけます。

 夫・カルージュは、彼女を信じて地位と名誉、命を賭けて決闘裁判に挑みます。ル・グリは、無実と正義を示すために裁判の申し出を受け入れます。

 生き方・考え方によって解釈が変わる作品。映画『最後の決闘裁判』10月15日(金)、公開。(SJ)

サブサブ1

◇映画『最後の決闘裁判』
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。

キャスト:
ジョディ・カマー マット・デイモン アダム・ドライバー ベン・アフレック

監督:リドリー・スコット
脚本:ニコール・ホロフセナー マット・デイモン ベン・アフレック
原作:エリック・ジェイガ―

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.


【公式サイト】

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