旧優生保護法(1948~1996年)下で障害者らに強制不妊手術が行われた問題で、兵庫県明石市議会の議会運営委員会は13日、市が提出した被害者支援条例の修正案について、現在開かれている議会では審議しないことを全会一致で決めた。
修正案は内容に大きな変化がなく、既に議決した議案について同じ会期内に審議できない「一事不再議」に当たり、いったん廃案とし、次期議会で審議されることが濃厚となった。
条例案は泉 房穂市長の主導で提出され、地方政治からの問題提起が注目されたが、9月29日の市議会(定数30、欠員1)での採決は議長を除き、1人が欠席、自民系会派10人と他の2人が反対、公明6人が退席した。
自民系最大会派が「国家賠償を求める裁判の結論が確定していない、いわゆる係争中の段階で市民の税金を使って補償することには疑問だ」「給付額の300万円の根拠や支援対象となる人が不明確」などとして反対、第2会派の公明党6人が継続審査を求めて退席、「反対ではないが、市民や第三者の声を聞く手順を踏んでおらず、市長が独断専行している」と棄権した。採決では賛成9、反対12となった。
一方、「国や県による支援は不十分であり、明石市独自の条例は被害者の尊厳を回復するものだ」との賛成意見も出た。市は翌30日、対象者を限定するなどの内容で修正案を提出していた。
明石市議会運営委員会は13日、「条例の理念には多くの議員が賛同している。次の議会では否決された理由などを踏まえた上で、細かい点をもっと審議する必要がある」とした。
一方、泉市長は「新たな議会で速やかに審議してもらいたい。さらなる内容の修正もあり得るので、今後は議会とキャッチボールしながら可決させたい」と述べた。