今年(2021年)、初点灯から150年を迎えた「江埼灯台」(兵庫県淡路市野島江崎)が国の重要文化財に指定される。
歴史的、文化的価値はもちろん、阪神・淡路大震災で露出した野島断層の近くにある重みがある江埼灯台は、明治初期に揺れに強い石積みを採用していた。関係者いわく、大震災で大きく崩れなかったのはそのおかげとも。
■「免震考慮した構造、建築技術史をひも解く鍵」不動まゆうさん
「建築当初、江埼灯台に免震装置が設計されたのは、設計者・ブラントンに対して、師であるスティーブンソン兄弟が地震が多い日本を案じて指示をしたからではないか。こうした建築技術史が実物として残っているのが灯台の面白さ」と語るのは「灯台女子」不動まゆうさん。
灯台の魅力を多くの人に知ってもらうため、「灯台女子」としてフリーペーパー『灯台どうだい?』 の編集発行人を務める不動さんは、 これまで記録のなかった江埼灯台のレンズについても調査(イギリス・チャンスブラザーズ製と判明)、数々の資料から鍋島灯台(香川県坂出市)から移設されたという。
レンズが瀬戸内海の灯台を転々としたのは、「国産の灯台レンズがなかったとされる明治初期、非常に貴重だったために大事に各所で使われたのかも知れない」と話す。
そして「石積みによる表面は生クリームが塗られたように見えるし、全体のシルエットは切り分けようとしているホールケーキ。さらに夜には灯籠(光源の入っている部分)が赤く点滅するのでイチゴのように見える」と高く評価している。