《阪神・淡路大震災27年》ポスト震災世代は(1)「知りたいのは、ありのままの神戸」山崎綾莉さん・鳥井麻帆さん(1999年生まれ) | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《阪神・淡路大震災27年》ポスト震災世代は(1)「知りたいのは、ありのままの神戸」山崎綾莉さん・鳥井麻帆さん(1999年生まれ)

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鳥井麻帆さんの個展「妄目~独りな目から見る孤立した断片~」のポスター
個展「妄目~独りな目から見る孤立した断片~」で展示された言葉
個展「妄目~独りな目から見る孤立した断片~」で展示された言葉

■今の私たちができること

 友人として接していた鳥井さんから”こだわりとしての写真””について聞いた山崎さんは、SNSで誰でも自由に発言できる世の中で、「責任のある言葉」を意識するようになった。不十分な知識で、考え方の違う人々に対して攻撃的にならないこと、情報を鵜呑みにしないように、内容を吟味する必要もある。被災者の話を聞いても、自分自身が経験しなければ、本当の痛みはわからない。だから、理解しようとするする気持ちは今後もずっと持ち続けたいと思っている。

海上から見る神戸市街地 六甲・摩耶の山並みは「緑の屏風」と表現する人も
海上から見る神戸市街地 六甲・摩耶の山並みは「緑の屏風」と表現する人も

■コロナ禍で過ごした学生生活

 一人の学生として遊びに行くこと、家族と外食すること、友人と顔を合わせて話すことなど、新型コロナウイルスの影響で、大学入学前に当たり前にできたことができなくなっていった。授業がオンラインになり、リモートでの就職活動。外出もできないため親友はスマートフォンだけという孤独。でも、スマートフォンは顔を合わせて話せる友達には到底勝てない。今は顔を合わせなくとも、簡単に会話ができる時代だからこそ、受け継ぐべきことは相手の表情を見て話を聞くことだと思っている。会えば普通の話ができる友人だが、目的を持って生きる鳥井さんの姿を見て、山崎さんはコロナ禍での孤独や寂しさがなければ、真剣に震災や生き方について話を聞くこともなかったかも知れない。

 阪神・淡路大震災の被災地からは少し距離がある姫路に生まれ育ち、この震災を語ることは難しいと感じていた山崎さんにとって、鳥井さんが発した「次の世代に伝えるためには、ありのままに表現する」という言葉がとても印象的だったという。人に伝える為にはどうしても言葉を包んでしまうこともあるかも知れないが、正確に伝えることが震災ついて最も理解できる手段だと共感した。写真のことになると、目をキラキラさせて話が止まらない友人の表情を見ることができた。大学生活の大半が、自由に人と会えなかっただけに、とてもまぶしく見えた。

 コロナ禍で迎える3度目の春。 2人はこの社会状況を恨まず、コロナ禍を経験した私たちの世代が次の世代に笑顔で話せるように、胸を張って「この時代に生まれて良かった」と言えるようになりたいと願っている。神戸で迎える「1.17」、阪神・淡路大震災から27年という年月、自分が生まれる前の悲しい出来事に、せめてこの日だけは思いを寄せたい。ほどなく、それぞれが神戸から旅立つ。でも、またこの時期に、神戸に会いに来たい。

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