“シワの修正”もNG 「銀幕の妖精」が貫いた意志の陰に“愛への渇望” 映画『オードリー・ヘプバーン』 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

“シワの修正”もNG 「銀幕の妖精」が貫いた意志の陰に“愛への渇望” 映画『オードリー・ヘプバーン』

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 「銀幕の妖精」が、そのほほ笑みに隠していたものとは…。映画『オードリー・ヘプバーン』。今作を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。

(C)PictureLux The Hollywood Archive Alamy Stock Photo

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 今年は、ドキュメンタリーが多く出そろってくるよう。このオードリー・ヘプバーンに続いて、イギリスのエリザベス女王、日本では瀬戸内寂聴さん。そして、ミュージシャンものは、多すぎるんじゃないかと思うような状況なのだということを、フランク・ザッパの『ZAPPA』(2020年、日本で2022年公開)を観てきた番組のリスナーさんから教えてもらった。

 公開を控えているものも含めると、リンダ・ロンシュタット、スージー・クワトロ、a-ha……それに、ジョニー・デップの製作で「ザ・ポーグズ」のフロントマン、シェイン・マガウアンを追ったもの(『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』)など、まさに花盛り状態なのだ。

 ドキュメンタリーには魅力がいっぱい詰まっている。おなじみのポートレイト、主演作品のハイライトシーンから、秘蔵映像に知られざるエピソード、誰も見たことのない姿まで、その人物の魅力にあらゆる角度からスポットライトを当て、さまざま所縁ある人々の語る言葉から、実像を浮かび上がらせる……。

 63歳でこの世を去ってから30年。今なお語り継がれ、出演作が繰り返し上映されるなど、人々の心に生き続けているオードリー・ヘプバーン。彼女が幼いころ、大好きだった父親が家族を捨てて家を出た。第二次世界大戦中、ナチスに傾倒していた両親は、その後離婚の道を選んだ。そんな環境で育つうち、小さな子どもの心を孤独と喪失感が支配するように。それはやがてトラウマとなって、幸せな家庭を渇望。家族優先主義となるあまり、結局裏切られて悲しい思いをいつも抱えることになった。

 世界中のファン、何億の人に愛されていても、彼女の心は愛に飢えていたのだ。

 1954年、ブロードウェイの舞台『オンディーヌ』で共演したメル・ファーラーと9月にスイスで結婚。この最初の結婚生活は14年間続いた。2人の間に生まれたショーン・ヘプバーン・ファーラーと、その娘でオードリーの孫、エマ・キャスリーン・ファーラーは、この映画の中で素顔の彼女についてたくさん語っている。

(C)Sean Hepburn Ferrer
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